谷中寺子屋で論語を学び坐禅を体験<br/>毎年8月に幽霊画展を開催

谷中寺子屋で論語を学び坐禅を体験
毎年8月に幽霊画展を開催

全生庵
ぜんしょうあん
体験する
歴史・文化を感じる
東京都台東区

東京メトロ千代田線「千駄木駅」から徒歩で約5分、台東区谷中へと続く坂を登っていくと左側に見える「全生庵」。

一般の人向けの坐禅会や、子供のための論語教室&坐禅体験などを行う臨済宗の寺院です。

境内には、黄金に輝く観音像のほか山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)と三遊亭圓朝(さんゆうていえんちょう)の墓所があり、谷中散策で足を運びたい場所のひとつです。

今回は、この「全生庵」について詳しくご紹介。山岡鉄舟によって建立された歴史から、論語や禅を学べる「谷中寺子屋」、毎年8月に開催される「幽霊画展」まで、親子の学びに役立つ情報をお伝えします。

※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください

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幕末~明治に活躍した山岡鉄舟ゆかりの寺「全生庵」とは?

「全生庵」の墓所を見守る谷中大観音
「全生庵」の墓所を見守る谷中大観音

東京都台東区谷中にある「全生庵」は、徳川家の幕臣だった山岡鉄舟が、明治維新の際に亡くなった人々を弔うために、1883年(明治16年)に建立しました。

現在でも、日本の政治家や経営者などのトップリーダーたちが坐禅に通うお寺として知られています。

禅の教えを生涯貫いた山岡鉄舟

山岡鉄舟墓所。鉄舟と交流が深かった落語家・初代三遊亭圓朝の墓所とあわせてお参りを
山岡鉄舟墓所。鉄舟と交流が深かった落語家・初代三遊亭圓朝の墓所とあわせてお参りを

山岡鉄舟は、勝海舟や高橋泥舟(たかはしでいしゅう)とともに「幕末の三舟」と称された剣の達人。


若い頃から禅を学んだ鉄舟は、坐禅によって死をも恐れぬ無理無欲の精神を身につけ、江戸城の無血開城においても大きな役割を果たしました。

西郷隆盛もその人柄に心打たれ、敵であったにもかかわらず「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない」と賛えました。

晩年に「全生庵」を建てた鉄舟は、52歳で亡くなるときも坐禅を組み、その姿勢のまま息を引き取ったといいます。

「谷中寺子屋」で、考える力や生きる力を養おう

論語を学ぶ子供たち
論語を学ぶ子供たち

「全生庵」では「谷中寺子屋」と題し、毎月第4金曜に親子で参加できる「こども論語&坐禅」を開催しています。

17時~18時は、中国の思想家である孔子と弟子たちの言行を記録した書物「論語」を楽しく学びます。教えてくれるのは、道徳評論家の安岡定⼦先⽣。

論語は、考える力、生きる力、思いやりの心を育てます。子供には難しいんじゃない?と思うかもしれませんが、先生のあとに続いて読むので、字が読めない小さな子供でも参加できますよ。

18時~18時半は、和尚様のお話と坐禅指導のあと10分ほど坐禅体験をします。

坐禅体験中は小さな子供が歩き回ったり、寝転んだりしても大丈夫。子供なりに何かを感じ、自然と成長していきますよ。

最後に子供たちが座布を片付けて、お礼のご挨拶。

大きな声で論語を読み、坐禅で呼吸を使って心と体を整えることは、子供の成長にきっと役立つはずです。

※2022年8月現在、新型コロナウィルス感染拡大防止策を徹底して開催中。人数に限りがあるため、開催スケジュールをご確認のうえ、必ずメールまたはFacebookよりご予約を。

■谷中寺子屋 こども論語&坐禅
開催日:毎月第4金曜に定期開催
参加費用:1人1,000円(大人・子供共通)
※3歳未満は無料

毎年8月に「幽霊画展」を開催(8月1日~31日)

例年8月は「圓朝まつり」と題して、さまざまな催しを開催(写真提供:台東区)
例年8月は「圓朝まつり」と題して、さまざまな催しを開催(写真提供:台東区)

「全生庵」には、鉄舟の導きで禅を修めた人気噺家・初代三遊亭圓朝の墓所もあります。

圓朝は、怪談や人情話を得意とし、「怪談牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)」や「真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)」などの原作者としても有名。

ずらりと並ぶ幽霊画
ずらりと並ぶ幽霊画

創作の参考資料として収集した幽霊画は「全生庵」に所蔵されており、毎年8月の1カ月間限定で一般公開されます。

左から、伊藤晴雨(いとうせいう)「怪談乳房榎図」、池田綾岡(いけだあやおか)「皿屋敷」、鰭崎英朋(ひれざきえいほう)「蚊帳の前の幽霊」。 すべて全生庵所蔵
左から、伊藤晴雨(いとうせいう)「怪談乳房榎図」、池田綾岡(いけだあやおか)「皿屋敷」、鰭崎英朋(ひれざきえいほう)「蚊帳の前の幽霊」。 すべて全生庵所蔵

伊藤晴雨や河鍋暁斎(かわなべきょうさい)など、幕末から明治の著名な画家たちが描いた幽霊画は、ジメッとした悲壮感漂うもの、まるで画から飛び出してきそうな鬼気迫るものまでさまざま!

夏休みの日記や自由研究にもおすすめですが、館内は写真撮影不可なので、ご注意くださいね。

また、圓朝の命日である8月11日には例年「圓朝忌」として法要が行われ、社団法人落語協会の噺家さんたちによる奉納落語会も開催されます。

身振りや手振りを交えた楽しい話に、親子で引き込まれること間違いなし!

※内容が変更、中心なる可能性もあります。事前に公式サイトなどでご確認ください

とりっぷノート★さらに楽しむポイント

「全生庵」がある谷中・根津・千駄木エリアには、かつて夏目漱石や森鴎外などの文豪が住み、作品に登場する場所がたくさんあります! 子供たちに「1,000円札に描かれている人が住んでいたんだよ」なんて話をしながら散策するのも楽しいですね。(いこーよとりっぷライター・岡本ハナ)

記事を書いた人

岡本ハナ

1983年フィリピン生まれ。4児(2男2女)の母。 大学在学中に読者モデルとして活動するかたわら、web制作会社でライターアシスタントとして勤務。現在は、映画や音楽などエンタメ情報、子供関連(不妊治療、発達障がい児など)をテーマに各メディアで執筆。料理下手だが、料理人の夫に感化されて料理&食育を勉強中! 多国籍料理が好き。

スポット基本情報

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    お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。
スポット名全生庵
ふりがなぜんしょうあん
住所東京都台東区谷中5-4-7
電話番号03-3821-4715
料金谷中寺子屋:1人1,000円(大人・子供共通)※3歳未満は無料
日曜坐禅会:初回500円、2回目以降300円
アクセスJR各線・京成電鉄「日暮里駅」から徒歩で約10分
東京メトロ千代田線「千駄木駅」団子坂下出口から徒歩で約5分
駐車場駐車場なし
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公開日2022年08月03日/更新日2024年05月21日