福島・相双地域の3つのまちを巡る<br/>体験充実の親子バスツアーレポ!
更新日2024年12月05日/公開日2024年12月05日

福島・相双地域の3つのまちを巡る
体験充実の親子バスツアーレポ!

体験する
歴史・文化を感じる
PR

福島県内の「相双(そうそう)地域」の魅力を体験する、1泊2日のモニターバスツアーが2024年10月26日(土)、27日(日)に開催されました!

小学生以下の親子を含む首都圏在住の参加者が相双エリアを満喫! 体験盛りだくさんのツアーの様子をレポートします。

※各施設の情報は取材時の内容であり、一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください

【撮影】栗原美穂

「相双地域」ってどんなところ?

「相双地域」は、東京から電車や車を使って約4時間で到着します
「相双地域」は、東京から電車や車を使って約4時間で到着します

「相双地域」とは、福島県の太平洋沿岸部エリア「浜通り地方」内の12市町村から構成されている地域のこと。

東は太平洋、西は標高600m余の阿武隈(あぶくま)高地に挟まれており、雄大な自然と多様な食資源が魅力です。震災と原発事故からの復興に向けて、新たな地域づくりが進んでいます。

今回のモニターツアーでは、飯舘村(いいたてむら)、浪江町(なみえまち)、葛尾村(かつらおむら)の3つのまちを訪問しました。

飯舘村

阿武隈山系北部の高原にある豊かな自然に恵まれたまち。総面積の約75%を山林が占めています。高原地帯独特の冷涼な気候を生かした農業が盛んです。

浪江町

浜通り地方のほぼ中央に位置するまち。海、山、川に囲まれており、平坦地は温暖な気候で積雪も少なく住みやすい環境です。

葛尾村

阿武隈高地に位置し、総面積の80%以上を山林が占めています。農業と畜産業が主産業で、のどかな雰囲気の山村です。

3つのまちの魅力を、1泊2日の親子旅で体験してきました!

【1日目】
「東京駅」からバスで出発(8:15~) → そば打ち体験&木工体験(12:45~15:25) → 道の駅で買い物(16:50~17:30) → 夕食&宿泊(17:40~)

【2日目】

羊毛クラフト体験(9:00~10:45) → 牛舎見学(10:55~11:25) → ジンギスカンの試食(11:35~12:25) → ツリークライミング・森林ウォーキング(12:45~14:25) → 乗馬体験・ふれあい体験(15:25~16:55) → バスで「東京駅」へ出発/解散(~20:25)

【1日目】まちの産業を活かした体験プログラム&道の駅ショッピング♪

モニターツアー1日目は、飯舘村と浪江町を訪れて、そば打ちや木工細工を体験。そして、道の駅で買い物を楽しみます。

【飯舘村/宿泊体験館きこり】そば打ち体験&木工体験

そば打ちを教えてくれたのは、地元のそば愛好会「いいたて愚真会(ぐしんかい)」のみなさん。大きな包丁を使ってそば切りに挑戦した子からは、スッと刃が入る感覚に「気持ちいい!」との声が。できたそばは、宿泊施設に持ち帰って、夕飯時に茹でてもらいます
そば打ちを教えてくれたのは、地元のそば愛好会「いいたて愚真会(ぐしんかい)」のみなさん。大きな包丁を使ってそば切りに挑戦した子からは、スッと刃が入る感覚に「気持ちいい!」との声が。できたそばは、宿泊施設に持ち帰って、夕飯時に茹でてもらいます

まず訪れたのは、豊かな緑と水に囲まれた「宿泊体験館きこり」。ここではそば打ちに挑戦します!

使用したのは、飯舘村産のそば粉。飯舘村の冷涼な気候を活かして栽培されたそばは、強いコシと香りの良さが特徴。村のそば畑の作付面積は年々拡大しており、ツアーで訪れた10月後半は、そばの実が収穫できる旬の時期なんですよ。

そばの手ざわりを楽しむ子、職人さながらに作業に没頭する子、それぞれが初めてのそば打ち体験を楽しんでいました。

古くから林業が盛んだった飯舘村の山間部には広葉樹が多く茂っています。使った木材は、飯舘村産のナラ、ブナ、エゴノキ。細かいパーツをくっつける作業が意外と難しく、「こうやるんだよ!」とお母さんの分を手伝ってあげる子も。作ったカブトムシは、壊れないようにプラスチックケースに入れてお持ち帰りします
古くから林業が盛んだった飯舘村の山間部には広葉樹が多く茂っています。使った木材は、飯舘村産のナラ、ブナ、エゴノキ。細かいパーツをくっつける作業が意外と難しく、「こうやるんだよ!」とお母さんの分を手伝ってあげる子も。作ったカブトムシは、壊れないようにプラスチックケースに入れてお持ち帰りします

飯舘村産の木材を使った木工細工体験では、木の枝をボンドで組み上げて、手のひらサイズのカブトムシを作ります。ツノや足は、小枝の形をそのまま生かしているため、完成形に違いが出るのが面白い!

真剣に小さなパーツを切ったり削ったりくっつけたり。手作りの素朴さ溢れる作品ができました。

■宿泊体験館きこり
所在地:
福島県飯舘村深谷市沢166-6

【浪江町/道の駅なみえ】道の駅でお土産を購入!

郷土料理研修室や談話コーナーもあり、地域の交流の場になっている「道の駅なみえ」。隣接する「なみえの技・なりわい館」には、大堀相馬焼の陶芸体験教室や酒造りの工程を見学できるコーナーも! 浪江の名産品や地元で採れた新鮮野菜がずらりと並ぶ直売所の“お土産売上ナンバー1”は、極太麺が特徴のご当地グルメ「なみえ焼そば」。請戸漁港で水揚げされたしらすも人気です!
郷土料理研修室や談話コーナーもあり、地域の交流の場になっている「道の駅なみえ」。隣接する「なみえの技・なりわい館」には、大堀相馬焼の陶芸体験教室や酒造りの工程を見学できるコーナーも! 浪江の名産品や地元で採れた新鮮野菜がずらりと並ぶ直売所の“お土産売上ナンバー1”は、極太麺が特徴のご当地グルメ「なみえ焼そば」。請戸漁港で水揚げされたしらすも人気です!

バスで1時間ほど移動して、沿岸部にある浪江町へ。2020年8月に復興のシンボルとしてオープンした「道の駅なみえ」でお買い物です。

「道の駅なみえ」は、地域の名産品を扱う直売所のほか、まちにある「請戸(うけど)漁港」で水揚げされた新鮮な魚介が味わえるレストランや、福島のフルーツを使ったフルーツスタンドなどが入っています。

参加者の一人が購入していたのは、相双地域内の相馬市にある県内唯一の潟湖(せきこ/外海と切り離されてできた湖のこと)・松川浦産の「あおさ」。「(ツアーに帯同していた)バスガイドさんおすすめのお土産なんです」と教えてくれました!

■道の駅なみえ
所在地:
福島県浪江町大字幾世橋字知命寺60
営業時間:10:00〜18:00
定休日:毎月最終水曜
※「なみえの技・なりわい館」大堀相馬焼コーナーのみ毎週水曜

「道の駅なみえ」公式サイト(外部サイト)

【浪江町/福島いこいの村なみえ】自作そばで夕食&宿泊

「すごくおいしい!」と、いつも以上に食が進んでいるようでした
「すごくおいしい!」と、いつも以上に食が進んでいるようでした

買い物を終えたバスは、バーベキュー施設や大浴場を備えた浪江町の公共宿泊施設「福島いこいの村なみえ」に到着。

夕食では、地元の食材を使った通常メニューに加え、飯舘村で打ったそばもいただきました。

やっぱり自分で打ったそばは絶品! ちょっと歪(いびつ)な形もご愛嬌ですね。「この形は俺が切ったやつだよ!」なんて、親子の会話も弾んでいました。

■福島いこいの村なみえ
所在地:
福島県浪江町大字高瀬字丈六10
営業時間:チェックイン15:00/チェックアウト10:00
料金:本館和室(夕食・朝食付き/4人1室利用)1人8,000円~など

「福島いこいの村なみえ」公式サイト(外部リンク)

【2日目】特産品「メルティーシープ」を知る&自然アクティビティを満喫!

モニターツアー2日目は葛尾村へ。羊毛クラフト体験、牛舎見学、ジンギスカンの試食、ツリークライミング、そして再び浪江町に移動して乗馬体験など、大充実の内容です。

【葛尾村/葛尾中学校旧校舎】メルティーシープ羊毛クラフト体験

ワークショップは、村に滞在して活動するアーティストのみなさんが教えてくれます。先端に針が付いた「ニードル」という道具で、ブスブスと刺していく感覚が気持ちいい! 胴体ができたら、ブローチの土台と目を選んでボンドでつけます。あっという間にかわいいブローチの完成!
ワークショップは、村に滞在して活動するアーティストのみなさんが教えてくれます。先端に針が付いた「ニードル」という道具で、ブスブスと刺していく感覚が気持ちいい! 胴体ができたら、ブローチの土台と目を選んでボンドでつけます。あっという間にかわいいブローチの完成!

まずは、休校中の「葛尾村立葛尾中学校」の校舎で、葛尾村で育てられているブランド羊「メルティーシープ」の羊毛を使ってブローチ作りに挑戦します。

羊の形をしたフェルトの上に、よくほぐした羊の毛を置き、ニードルの針で何度も刺していくだけで、フェルトと毛がくっついてふわふわの羊ブローチに! 大人も子供も夢中になって手を動かしていました。

「毛に羊の油分が残っていて、さわるとしっとり気持ちいい。マフラーに付けたいです」と話すママも!

休校中の校舎内にある「かつらお企画室」。     “葛尾村の日常の中にある魅力を再発見する”をテーマに、村の文化や資源を使ったさまざまなワークショップを、不定期で開催しています。また、ワークスペースとしても開放されています
休校中の校舎内にある「かつらお企画室」。 “葛尾村の日常の中にある魅力を再発見する”をテーマに、村の文化や資源を使ったさまざまなワークショップを、不定期で開催しています。また、ワークスペースとしても開放されています

東日本大震災の影響で、村を離れている住民も少なくなく、生徒数も少ないままの葛尾中学校。現在の生徒数は4人のため、近くの葛尾小学校で授業をしています。

ですが、いつか人がたくさん戻ってくることを願って、この校舎は「廃校」ではなく、あくまで「休校中」なのだそう。

教室の黒板には、震災当日に行われていた卒業式のスケジュールや、当時の生徒が書いた「みんな帰ってくるぞ!また会おう!」の文字が残っていました。

■葛尾村立葛尾中学校(休校中)
所在地:
福島県葛尾村落合字菅ノ又14-2

【葛尾村/牛屋】「メルティーシープ」の牛舎訪問

(左上)「牛屋」の黒毛和牛は、福島県代表として「和牛オリンピック」に出場しています/(右上)放牧されているヤギたちは気持ちよさそうに敷地内を走り回っていました/(左下)敷地内の木陰にメルティーシープの群れを発見!/(右下)羊の毛刈りを見学。羊の毛は高級スーツなどに、毛に含まれる油分は保湿クリームに生まれ変わります
(左上)「牛屋」の黒毛和牛は、福島県代表として「和牛オリンピック」に出場しています/(右上)放牧されているヤギたちは気持ちよさそうに敷地内を走り回っていました/(左下)敷地内の木陰にメルティーシープの群れを発見!/(右下)羊の毛刈りを見学。羊の毛は高級スーツなどに、毛に含まれる油分は保湿クリームに生まれ変わります

次に訪問したのは、葛尾村で黒毛和牛とブランド羊「メルティーシープ」を育てている畜産農家「牛屋」です。

「牛屋」は、東日本大震災のあとに、畜産農家の吉田健(よしだつよし)さんが始めたブランドプロジェクト。原発事故による避難指示で、一度は0人になった葛尾村を復興すべく、何もなかった山を切り開き、若い人材を雇用できる牛舎を作ったのだそう。実際に、20歳前後の若い力が県外からも多く集まってきています。

広々とした5棟の牛舎は、2023年4月に完成したばかり。羊とヤギは牛舎の周りに放牧されていて、子供たちは草をあげて楽しんでいました!

■牛屋
所在地:
福島県葛尾村大字上野川字仲迫27-11

【葛尾村/葛尾村復興交流館あぜりあ】「メルティーシープ」の試食&昼食

(上段)牛屋の吉田さん自らがジンギスカンを焼いてくださいました。メルティーシープは、甘みがあって胃もたれしにくく、とっても食べやすいと好評でした/(下段)施設内にある冷凍自動販売機でもメルティーシープが購入できるほか、葛尾村のお土産もいっぱい!
(上段)牛屋の吉田さん自らがジンギスカンを焼いてくださいました。メルティーシープは、甘みがあって胃もたれしにくく、とっても食べやすいと好評でした/(下段)施設内にある冷凍自動販売機でもメルティーシープが購入できるほか、葛尾村のお土産もいっぱい!

牛舎見学後は、「葛尾村復興交流館あぜりあ」でメルティーシープのジンギスカンを試食します。

メルティーシープは、その名の通り溶けるような柔らかさが特徴。東京の有名な店舗や三つ星のミシュランガイド評価を受けたレストランでも使用され、高い品質が認められています。葛尾村のふるさと納税返礼品にもなっているんですよ。

試食した親子は、「臭みがなくて食べやすい! 子供の食いつきがすごいです」と大満足の様子でした。

■葛尾村復興交流館あぜりあ
所在地:
福島県葛尾村落合字落合20-1

【葛尾村/葛尾村森林公園 もりもりランド・かつらお】ツリークライミング・森林ウォーキング体験

教えてくれたのは、「ツリークライミングジャパン」オフィシャルインストラクターのみなさん。木そのものには手や足をかけず、ロープにぶら下りながら登っていきます。樹上から見る世界は格別で、大人も子供も大はしゃぎ! 最後は登った木にお礼を言って、認定書をいただきました
教えてくれたのは、「ツリークライミングジャパン」オフィシャルインストラクターのみなさん。木そのものには手や足をかけず、ロープにぶら下りながら登っていきます。樹上から見る世界は格別で、大人も子供も大はしゃぎ! 最後は登った木にお礼を言って、認定書をいただきました

続いてやってきたのは、「葛尾村森林公園 もりもりランド・かつらお」。葛尾村の自然をそのまま生かした広大な森林公園です。

今回ここで挑戦するのは、「ツリークライミング」(※)。専用のロープを利用して木に登り、自然との一体感を味わうアクティビティです。 特殊なロープワークを駆使することで、力の弱い子供でもすいすい登ることができ、やり方を覚えた子供たちは、あっという間にてっぺんへ!

木から降りてきてすぐに「また登りたい!」という子が続出するほど大人気のアクティビティでした。

※「ツリークライミング」は、「ツリークライミングジャパン」の登録商標です

山道を案内してくれたのは「福島県もりの案内人」の小松雅喜(こまつまさよし)さん。子供たちは、自然の中をイキイキと駆け回ったり、カナヘビやカエルを捕まえたりと大はしゃぎ! どんぐりの帽子を使った笛の吹き方なども教えてもらいました
山道を案内してくれたのは「福島県もりの案内人」の小松雅喜(こまつまさよし)さん。子供たちは、自然の中をイキイキと駆け回ったり、カナヘビやカエルを捕まえたりと大はしゃぎ! どんぐりの帽子を使った笛の吹き方なども教えてもらいました

その後、森林公園内をのんびりトレッキング。澄んだ空気がおいしくて、木の枝やどんぐりを踏み締めて歩く音が気持ちいい!

案内人の小松さんが、歩きながら見つけた植物の種類を教えてくれて、自然を身近に感じる貴重な体験となりました。

■葛尾村森林公園 もりもりランド・かつらお
所在地:
福島県葛尾村大字葛尾字敷井畑194

【ツリークライミング:個人予約の場合】
開催日時:不定期開催
※開催概要など詳細は公式サイトを参照

「ツリークライミング」公式サイト(外部サイト)

【浪江町/ランドビルドファーム厩舎】乗馬体験・ふれあい体験

スタッフが横に付いているので、乗馬初体験の子供も安心して挑戦できました
スタッフが横に付いているので、乗馬初体験の子供も安心して挑戦できました

最後は、再び浪江町に移動して「ランドビルドファーム厩舎(きゅうしゃ)」へ。こちらで飼育しているのは、引退した競走馬や国の重要無形民俗文化財に指定されている相双地域最大の祭り「相馬野馬追(そうまのまおい)」に出場する馬たちです。

乗馬体験では、スタッフが横に付き添いながら、牧場の柵内をゆっくり一周。「思ったよりも馬が大きくてびっくり!」と子供たちは大興奮。

厩舎でのふれあい体験の様子。馬にさわる前に、まずは鼻に手を当てて匂いを嗅がせると、馬が安心するそう。なお、「ランドビルドファーム」では、馬の堆肥を活用してニンニク栽培も行っています
厩舎でのふれあい体験の様子。馬にさわる前に、まずは鼻に手を当てて匂いを嗅がせると、馬が安心するそう。なお、「ランドビルドファーム」では、馬の堆肥を活用してニンニク栽培も行っています

厩舎では、ブラッシングしたり、エサやりをしたりと、たっぷり馬とふれあうことができました。

初めは恐る恐る見ていた子供もだんだん慣れてきて、最後は自分の手でエサをあげることができ、得意げに目を輝かせていました。大量に用意されていたニンジンがすぐになくなってしまいました!

■ランドビルドファーム厩舎
所在地:
福島県浪江町大字室原字北町尻3

「葛尾村森林公園 もりもりランド・かつらお」にて記念の一枚。参加した子供たちもすっかり仲良しに!
「葛尾村森林公園 もりもりランド・かつらお」にて記念の一枚。参加した子供たちもすっかり仲良しに!

相双地域のグルメや大自然、文化を思う存分満喫した1泊2日のモニターツアー。震災から13年が経過し、地域の人たちの力によって着実に復興が進んでいることを体感できました。

相双地域ならではの豊かな自然と文化を再発見しに、親子で足を運んでみませんか。

記事を書いた人

宇都宮薫

多摩美術大学卒業。編プロ勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、書籍(ビジネス書・実用書・コミックエッセイ等)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは生活情報全般、出産育児、健康、おでかけ、グルメなど。趣味は地図を見ること、まち歩き、絵を描くこと♪

  • ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
    お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。