江戸切子を制作&そば屋さんで本物を味わう体験!【イベントレポ】
「いこーよとりっぷ」の姉妹サイト「未来へいこーよ」では現在、江戸切子(江東区)や革細工(墨田区)といった「東京のものづくり」をテーマにした子供向け職業体験プログラムを開発しています。
今回は、キヨヒデガラス工房が運営する「江戸切子専門店 煌粋(きらめき)」(東京都江東区猿江2-13-14)で行った江戸切子のグラス制作体験に、モニター親子が参加。さらに、おそば屋さんで自分が作った切子と職人さんが手掛けた江戸切子の“飲み比べ体験”も実施しました。
現役で活躍する江戸切子の伝統工芸士に直接教わることで、これまで知らなかった江戸切子の魅力と価値が存分にわかる体験の模様をレポートします。
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解説動画を見て江戸切子の理解を深める
江戸切子の制作を教えてくれるのは、現役の江戸切子の伝統工芸士・清秀(きよひで)さん。
清秀さんと挨拶をしたあと、まずは江戸切子の歴史と作り方を動画で学びます。江戸切子の制作は専門用語が多いため、口頭よりも動画のほうがイメージをつかみやすいのです。
【ステップ1】まずは底のデザイン「底菊」を作っていく
江戸切子の制作には、「グラインダー」と呼ばれる機械を使います。
グラインダーに「ダイヤモンドホイール」と呼ばれる回転工具を取り付け、グラスの底と側面に模様をつけたり、磨いたりを繰り返して完成させます。
今回の体験では、透明なグラスと色付きグラスを1つずつ作ります。
まずは、透明なグラスを使って、底の部分に「底菊」と呼ばれる模様をつけていきます。
菊の模様は、底面の表面(外側)を削りながら作っていきます。清秀さんによると、透明なグラスの場合、グラスの内側をのぞき込みながら削り進めることができるため、初めての江戸切子体験におすすめとのこと。
体験用のグラスの底には、あらかじめペンで線が引いてあり、線をなぞるようにダイヤモンドホイールに当てていきます。
集中力と根気がある程度必要なので、対象年齢は小学校高学年からとしています。今回参加したモニターさんは中学校1年生です。
「江戸切子専門店 煌粋」にある体験用機材は2台のみなので、今回の体験は大人1名と子供1名の1組で行われます。
子供が作っている様子を大人が見守るのでなく、一緒に作品を作ったほうが手触りや音、機械の振動などが記憶として残り、共通の思い出につながります。
それぞれの作品を完成させるまで、2人が黙々と作業する時間も、普段はなかなか体験できない特別なものに感じられました。
【ステップ2】グラスの横のデザインを決める
底菊が完成したら、グラスの横側のデザインを決めます。清秀さんが作った見本を参考にしながら、削る場所をペンで描いていきます。
グラスにペンで印をつける際、手でそのまま描くとどうしても曲がってしまうため、専用の道具を使います。
板の部分にペンをピッタリと固定してから、グラスを回して印をつけていくと横線が描けます。縦線はグラスを固定し、道具の板に沿って縦にペンを動かせばOK。
底面よりも横側のほうが難度は高くなり、きれいにまっすぐ線が描けるだけでも「やった!」と声をもらしてしまうほど。達成感が大きい工程です。
そのころお母さんは…
お母さんは底菊にじっくりと取り掛かっています。初めて作ったとは思えないほど、見事な底菊ができあがっています。
【ステップ3】色付きのグラスは難易度がアップ!
透明なグラスのデザインがひと区切りしたら、次は色付きのグラスです。グラスは赤色と青色の2種類から選べます。
透明なグラスの場合は、底も側面もペンで描いた目印が内側から見えやすいのですが、色付きのグラスになると内側から見通せないぶん、慎重に進める必要があります。
参加したモニター親子は「実際にやってみると、色がついているほうが江戸切子の料金が高くなる理由がわかりますね」と感心していました。
体験時間は1時間30分ほどで、各2個のグラスが完成! 今回参加したモニター親子は「できるならもっと続けたい!」と話すくらい夢中で取り組んでいました。
このあとはグラスをキレイに洗って近所のそば屋さんへ移動します。
そば屋さんで自分が作ったグラスと“本物”の江戸切子で飲み比べ!
完成したグラスを持って、「江戸切子専門店 煌粋」から徒歩10分のところにあるそば屋「銀杏」(東京都江東区大島2-15-3)に移動します。
「銀杏」は本格的な手打ちそばが楽しめることで、そば通はもとより、親子連れにも人気のお店です。
体験では「蕎麦前セット」か「海老天せいろ」のどちらかを選ぶことができます。
まずは完成したグラスで飲み比べ♪
作ったばかりのグラスを使って飲み物が飲めるのも、この体験の魅力のひとつです。
飲み物の色によって、グラスの表情の変化が楽しめます。参加者はグラスをなでながら「ここのところはちょっと失敗しちゃったけど、自分で作ったグラスで飲むのは楽しい」とお母さんに話していました。
しばらくすると、「銀杏」のスタッフが、職人さんが手がけた“本物”の江戸切子を持ってきてくれました。桐の箱から出てきただけで、正確かつ精密に模様がつけられた美しさに、思わずモニター親子からため息がもれます。
続いて、清秀さんが作った江戸切子を使ってお茶(お酒も可能)を飲みます。
まずはじっくり器を鑑賞。自分で作った経験があると、江戸切子に描かれている模様の繊細さと美しさがまた際立って感じられます。
モニター親子のお母さんが飲み物を一口飲むと「美味しい! 同じ飲み物でも器が違うと、さらに美味しく感じるんですね。これは江戸切子が欲しくなっちゃいます」と感動していました。
おそばを堪能!
飲み比べを楽しんだあとは、お待ちかねのお料理が登場!
「蕎麦前セット」は、「焼きみそ」と「にしんの姿煮」、「卵焼き」におそばがついています。いずれもお酒によく合う料理で大人に人気のセットですが、特に卵焼きは子供にも大好評!
一方、「海老天せいろ」は、なすやレンコン、かぼちゃ、海老などの天ぷらとおそばのセット。体験当日は暑い日だったこともあり、ふたりとも冷たいおそばでしたが、普段は温かいそばも人気があるんですよ。
天ぷらは揚げたてのものが届き「塩をつけて食べる」というのも、少し特別な気分が味わえます。手打ちのそばは細めで香り高く、のどごしがよくて参加者に大好評!
江戸切子を実際に作ったり、使ってみることで価値の高さをあらためて知ることができ、さらに美味しいおそばも食べて帰れるという、大満足の体験となりました。
このイベントは2023年夏の本格稼働に向けて、現在鋭意ブラッシュアップ中です。ぜひみなさんも江戸切子の魅力を手と舌で味わえる体験に参加してみてくださいね。
記事を書いた人
いこーよとりっぷ編集部
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