現代によみがえった貴重な型紙<br/>会津型の染型紙を彫ってみよう!

現代によみがえった貴重な型紙
会津型の染型紙を彫ってみよう!

染織工房れんが
せんしょくこうぼうれんが
体験する
ものづくり
福島県喜多方市

会津伝統工芸のひとつ「会津型」は、型染め(かたぞめ/型紙を用いて着物などの生地に模様を染める技法)に使う染紙型のこと。

和紙数枚を柿渋で貼り合わせた「渋紙」にデザインカッターで模様を彫ったもので、江戸時代末期から昭和の初めまで喜多方エリアで製作・販売されていました。

そんな会津型の伝統と技術を守る活動をしている「染織工房れんが」(福島県喜多方市)では、会津型の型彫りをして和紙を染める体験ができます。

今回は、ものづくりが大好きな小学3年生と6年生の娘2人が会津型の型彫りに挑戦してきました!

会津型とは

着物の柄を染める型紙として、江戸時代末期から喜多方エリアで生産されてきた会津型。洋服の普及によって昭和初期に一度はその歴史に幕を閉じますが、1984年に元型紙商の蔵から大量の染型紙が発見されたことを機に、喜多方の文化として見直されることに。

現在では、福島県及び喜多方市の有形民俗文化財となっていて、「会津型研究会」が中心となりその魅力を発信しています。

蔵造り工房で型彫りに挑戦!

「染織工房れんが」で伝統工芸を体験!
「染織工房れんが」で伝統工芸を体験!

福島県喜多方市にある「染織工房れんが」。かつてこの地で呉服屋の倉庫として使われてきた五棟の蔵のひとつがギャラリー兼工房として活用されています。

蔵造りの工房で型彫りを体験できるなんて、始める前からテンションが上がっちゃいます♪

デザインを決める

素敵なデザインがいっぱい!
素敵なデザインがいっぱい!

今回、会津型を教えてくれるのは、会津型研究会会長の冠木昭子(かぶきあきこ)先生です。

まずは好きなデザインを選びます。かわいらしい動物や鳥、お花などさまざまなモチーフがあるので、どれにしようか迷ってしまいます。

長女は涼しげなうちわ、次女は可愛らしいウサギのデザインをチョイスしました。

デザインのコピーの下にある茶色い紙が「渋紙」。細工蝋(さいくろう)を塗り込んで型を彫りやすくします。
デザインのコピーの下にある茶色い紙が「渋紙」。細工蝋(さいくろう)を塗り込んで型を彫りやすくします。

会津型を彫る紙は「渋紙」と言って、和紙を何枚もはり重ね柿渋を塗って乾かしたもの。とても頑丈な紙なので、染色のために何度水に浸けても簡単には破れません。

細かいパーツから丁寧に彫っていく

まずは細かい部分から…
まずは細かい部分から…

カッティングマットを敷き、デザインカッターで模様を彫っていきます。

最初に細かい部分から彫りはじめるのがポイント。渋紙は硬いのでグッと力を込めて刃を入れて。「引き彫り」といって、なるべく刃を立てて手前に引くようにして彫るのがコツです。

長女が選んだうちわの柄は細かい部分が多いので大変そう…!

力を込めて刃を入れる
力を込めて刃を入れる

次女はパーツが大きめの柄を選んだものの、ウサギのひげの部分がちょっと難しい様子。左手で紙をしっかり押さえ、彫りにくいときは紙の向きを変えながら丁寧に彫っていきます。

だんだん刃物使いに慣れてきた!

工房内の様子
工房内の様子

時間をかけて真剣に彫り進めていく娘たち。

慎重に彫っていこう
慎重に彫っていこう

彫り始めた時は刃の向きを間違えたりとなかなか手こずっていましたが、しばらくすると刃物使いに慣れてきた様子です。

「刃物と仲良くなっていってくださいね」と冠木先生。家ではケガが怖くてほとんどハサミしか使わせていなかったので、カッターもこんなに上手に扱えるんだ!と新たな発見になりました。

角の処理は丁寧に
角の処理は丁寧に

丁寧に角(かど)を処理するのもポイントのひとつ。角が毛羽立ってしまった時は、刃の先端で突くようにするときれいに切り離せます。隣で先生がアドバイスしてくれるので安心ですね。

彫り残しはないかな?
彫り残しはないかな?

1時間ほどかけて型紙を彫り終えました。細かいところまで彫り残しがないかじっくりチェック。

全部彫れたら細工蝋のベタつきを落とすために渋紙にアイロンをかけます。

彫った型紙でうちわを染めてみよう!

刷毛の力加減が大事
刷毛の力加減が大事

作った型紙でうちわを染めてみましょう。

刷毛(はけ)に顔彩を取り、型の上からくるくると優しく押し付けるように色をのせます。細かい部分や際部分もしっかりと染めていきます。

朱がいい差し色に
朱がいい差し色に

別に彫っていた名前の一文字を落款(らっかん)風に朱色で入れてみました。アクセントになって良い感じです。

おしゃれなうちわの完成!
おしゃれなうちわの完成!

とっても風情のあるうちわができました。機械印刷とは違う柔らかな手彫り染めの味わいにほっこり♪ 

ちなみに、自分で彫った型紙は持ち帰りが可能です。自宅で紙を染める時は筆を短く切るか、歯ブラシでも代用できるそうです。

何度も繰り返し使えるので、使い終わったらたわしで水洗いしてインクを落とし、乾かしてから保管しておきましょう。

デザインナイフで細かい柄を丁寧に彫っていく体験は、子供にとっても良い学びになったようです。喜多方を訪れた際には、会津型の型彫りにぜひチャレンジしてみてくださいね。

■会津型の型彫り体験
料金:2,000円

喜多方に残る歴史ある蔵にも注目!

中庭から見た蔵内
中庭から見た蔵内

体験中、蔵を工房にした空間には、心地良い風が吹き抜けていました。蔵の中って本当に涼しいんですよ。

中庭から見ると蔵特有の重厚な扉があることがわかります。喜多方は「蔵のまち」とも呼ばれていて数多くの蔵が現存しているので、時間があれば体験のあとに蔵巡りしながらまち歩きをするのも楽しいですよ。

とりっぷノート♪取材こぼれ話を紹介

工房では会津型を利用したハンドメイド雑貨も販売しています。おみやげに会津型のデザインを取り入れた紙製のピアスを購入しました。耳元で揺れる会津型が渋かわいくてお気に入りです♪(いこーよとりっぷライター・宇都宮薫)

記事を書いた人

宇都宮薫

多摩美術大学卒業。編プロ勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、書籍(ビジネス書・実用書・コミックエッセイ等)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは生活情報全般、出産育児、健康、おでかけ、グルメなど。趣味は地図を見ること、まち歩き、絵を描くこと♪

スポット基本情報

  • ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
    お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。
スポット名染織工房れんが
ふりがなせんしょくこうぼうれんが
住所福島県喜多方市字1-4536
電話番号0241-23-1424
営業時間9:30〜17:00
※体験は前日までに要予約
※体験所要時間は約90分
定休日不定休
アクセスJR磐越西線「喜多方駅」から徒歩で約16分
駐車場駐車場あり
備考体験料金は2,000円
公開日2022年08月23日/更新日2022年08月23日