利島の歴史と文化を学べる資料館<br/>東京都有形文化財指定の貴重な品も

利島の歴史と文化を学べる資料館
東京都有形文化財指定の貴重な品も

利島村郷土資料館
としまむらきょうどしりょうかん
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学びにつながる
東京都利島村

「利島」(としま)は東京・伊豆諸島のひとつで、総面積4.12平方キロメートルの小さな島。

資源が限られた島ですが、椿油の生産量は全国の市町村のなかでもトップクラスです。

利島港から徒歩で約15分、車で5分ほどの「利島村郷土資料館」では、伝統産業である椿の産業用具のほか、縄文時代の土器片、東京都指定有形文化財の和鏡(わきょう)などを展示。

利島の歴史や文化を学べば、利島の親子旅がグンと奥深いものになりますよ!

縄文時代から続く利島の歴史と文化を伝える資料館

「利島村郷土資料館」入口
「利島村郷土資料館」入口

「利島村郷土資料館」は、縄文時代から続く利島の歴史や暮らしを学べるスポット。

利島最古の建物である「阿豆佐和気命神社」(あずさわけのみことじんじゃ)や、「大石山遺跡」などからの出土品、民具、模型などがわかりやすく展示されていており、地元の小・中学生も授業の一環として訪れる学習施設です。

展示物のなかには、利島の中学生たちが郷土学習のために収集した資料や、地元住民からの寄贈品などもあります。

それでは、さっそく展示を見てみましょう!

【伝統行事】利島の信仰や伝統文化を学べる

流鏑馬(やぶさめ)
流鏑馬(やぶさめ)

展示室に入ってすぐ目に入るのが、弓矢を引く姿が凛々しい流鏑馬(やぶさめ)像です。

利島の流鏑馬は、4年に1度行われてきた正月の神事。平安末期の武将である源為朝(みなもとのためとも)が、弓矢の神である「八幡神社」の神前で的射(まとい)を奉納したのが始まりとされます。

村落の西側にたたずむ「阿豆佐和気命神社」は島の信仰の中心。社殿は利島最古の建造物です
村落の西側にたたずむ「阿豆佐和気命神社」は島の信仰の中心。社殿は利島最古の建造物です

儀式の主役を務める的衆(まとしゅう)は、射手(いしゅ)2人と矢取(やとり)1人の計3人。

12月22日から元旦までの11日間「阿豆佐和気命神社」(あずさわけのみことじんじゃ)にこもり、朝と夕方に海岸で冷水を浴びて身を清める「水垢離」(みずごり)と、弓の稽古を繰り返します。

「八幡神社」
「八幡神社」

そして元旦の朝、「八幡神社」本例祭で124本もの矢を射ち、矢が飛んだ方向で吉兆を占うのです。

この厳かな儀式は、1958年(昭和33年)に東京都無形民俗文化財に指定されました。

※2022年現在は後継者不足により行われていません
※由来や変遷は定かではなく、諸説あります

【暮らし】明治初期のイド(居所)を再現した「イロリの部屋」

「イロリの部屋」
「イロリの部屋」

明治初期の民家を再現した「イロリの部屋」は、昔話に登場する家族団らんのシーンが思い浮かぶような展示エリア。

板の間の中央には薪を燃やして煮炊きや暖をとるユルイ(いろりのこと)があり、実際に使われていた生活道具がこまごまと展示されています。

解説パネルによると、利島の民家の入口は「台風などによる南東の強風を避ける」ため北側に設けられているのだとか。

先人から受け継がれてきた知恵が、今も暮らしの中に息づいていることがわかります。

【漁業】漁具の現物・パネル展示で利島の漁業の歴史を実感

漁具類
漁具類

今でこそ、さまざまな魚や魚介類が水揚げされている利島。

しかし漁業組合が設立された1906年(明治39年)当時は、船が停泊できる自然湾がないなどの厳しい自然環境が災いし、漁業が発展していませんでした。

その後、昭和50年代に港湾工事が急速に進んだことで、ようやくイセエビやトサカのり、鮮魚などの水揚げ量が増加。

資料館では、そんな利島の漁業の移り変わりを、写真パネルや昔の漁具の展示を通じてうかがい知ることができます。

航海の安全や豊漁を願って作られた「和鏡」も!

ずらりと並ぶ和鏡
ずらりと並ぶ和鏡

展示室に入って右手には、島内から出土した和鏡が並んでいます。これらは、航海の安全や豊漁祈願のために、利島のご先祖様や近海を通る漁師が製作した「鏡」です。

島の各家々の神と天照大神が祀られている「堂山神社」
島の各家々の神と天照大神が祀られている「堂山神社」

1957年(昭和32年)、「堂山神社」の社殿を改築する際に見つかった18面の和鏡を皮切りに、「八幡神社」境内からも出土し、現在では計70面を展示。

いずれも平安時代から室町時代にかけて作られたもので、このうち28面が東京都有形文化財に指定されています。

【椿産業】利島の基幹産業である椿油を絞る道具も!

椿油を搾る道具も展示されています
椿油を搾る道具も展示されています

展示室中央には、椿油を搾るためにかつて使用されていた、踏み臼などの道具類が展示されています。

日本の固有種であるヤブツバキが自生する利島では、現在も島全体の約8割の敷地で約20万本もの椿を栽培。椿油の生産量は国内でトップクラスです。

昔から水資源が乏しく稲作には不向きな土地だったため、江戸時代には年貢として米の代わりに椿油が幕府に上納されました。

学校で年貢のことを学んだ子供にとっては、きっと興味深い話ですね。

とりっぷノート★おすすめポイントを紹介

厳しい自然環境で生きるための、先人の知恵と積み重ねた努力が伝わる資料館です。小学校高学年以上であれば、学校の授業で習ったことにも触れるので、「なるほど!」と感動するかもしれませんね。土日祝日と年末年始(12月29日~1月3日)休館、開館時間が17時なので、見学希望の際はご注意を。(いこーよとりっぷライター・岡本ハナ)

記事を書いた人

岡本ハナ

1983年フィリピン生まれ。4児(2男2女)の母。 大学在学中に読者モデルとして活動するかたわら、web制作会社でライターアシスタントとして勤務。現在は、映画や音楽などエンタメ情報、子供関連(不妊治療、発達障がい児など)をテーマに各メディアで執筆。料理下手だが、料理人の夫に感化されて料理&食育を勉強中! 多国籍料理が好き。

スポット基本情報

  • ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
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スポット名利島村郷土資料館
ふりがなとしまむらきょうどしりょうかん
住所東京都利島村248
電話番号04992-9-0331
電話の受付先は利島村教育委員会です
営業時間10:00~17:00
定休日土日祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
料金無料
アクセス利島港から徒歩で約15分
公開日2022年10月26日/更新日2022年10月26日