【後編】福島県川俣町の里山で開催!
夏休み宿泊体験学習ツアーレポ
緑豊かな里山に広がる福島県川俣町(かわまたまち)で、2024年7月22日(月)~26日(金)に、4泊5日の宿泊体験学習ツアーが開催されました。
廃校になった小学校を利用した宿泊施設「おじまふるさと交流館」を拠点に、里山の自然・文化、近隣住民との交流などを体験!
里山の保全活動や川俣町の産業について学んだツアー後半の様子をお届けします。
【撮影】能勢太郎
川俣町の宿泊体験学習ツアーとは
大自然に囲まれた「おじまふるさと交流館」を舞台に、子供だけの夏合宿を開催! 首都圏に住む小学5・6年生たちが川俣町の里山活動や農業体験、まちの産業などをテーマに楽しく学びました。
【3日目】里山の保全活動を学ぼう
3日目のテーマは「里山保全活動」。「おじまふるさと交流館」で、里山の保全活動についてのお話を聞き、実際に活動を行っている長滝川渓谷を見学。自然観察も行いました。
里山の保全活動について学習
まずは、川俣町で里山の保全活動を行っている「喜楽会」(きらくかい)のみなさんに、川俣町にとっての里山の役割などのお話を聞きました。
里山の木を伐採したり、水源をきれいに保ったりすることで、さまざまな生きものが暮らせる環境を整え、子供たちが虫取りや、楽しみながら自然について学べる里山づくりを目指しているそうです。
渓谷で里山保全活動を見学!
長滝川渓谷は、川俣町民が使う水道水の水源であり、夏は涼を味わい、秋は紅葉が楽しめるスポット。
「天恵の森」と名づけられた渓谷沿いのエリアは、喜楽会のみなさんの手によって小川などが造られ、子供たちが安心して里山で遊べるように整備されています。
今回は、喜楽会のみなさんが里山保全を行っている長滝川渓谷を見学したあと、長滝川渓谷に生えるヤマザクラやアカマツなどに、自分の名前を書いた木札を取り付ける、特別プログラムも実施されました。
「今後もぜひ川俣町まで足を運んで、自分の木がどのように成長していくのか、保全活動をした里山がどのように変わっていくかを見にきてほしい」と喜楽会のみなさんが話してくれました。
長滝川渓谷で暮らす生きものや自然を観察
続いては、「天恵の森」にある小川で自然観察です。小川には、オタマジャクシやカエル、アメンボなど、さまざまな生きものが生息しており、子供たちは夢中で虫取りを楽しみました。
近くの木にはカブトムシもいて、子供たちは大興奮! ペットボトルで作ったお手製の虫カゴに入れて持って帰る子供もいました。
里山の保全活動のお話や、活動場所まで実際に足を運んだことで、里山や森林の魅力、大切さを深く理解することができ、充実の1日になりました。
【4日目】川俣町の産業を学ぼう
4日目のテーマは「川俣町の産業」。川俣町の産業である絹の歴史や製品について学習したあと、「川俣シルク」を作る工場を見学しました。
絹の歴史や製品について学習
川俣町の絹織物産業のはじまりは、約1,500年前といわれており、50年以上前の川俣町には240社ほどの織物工場があったそうです。
「おりもの展示館」では、手織り機(ておりばた)を展示しているほか、川俣の絹織物の歴史や伝統技術を写真やパネルを使って紹介しています。
館長さんから、絹の材料である繭(まゆ)を作る蚕(かいこ)の説明などを聞き、まちの伝統産業について知識を深めました。
お土産に蚕が入った繭をもらい、繭の中をじっくり観察するなど、子供たちは興味津々な様子でした。
川俣伝統の絹織物「川俣シルク」の工場見学
「おりもの展示館」を見学したあとは、川俣伝統の絹織物「川俣シルク」を製造する「紺野機業場」(こんのきぎょうじょう)に向かいました。
紺野機業場は、1918年(大正7年)から続く絹織物の工場で、川俣シルクの製造方法を継承しています。
川俣シルクは、ヨコ糸を濡らしてから織る「濡れよこ」の技法で作られています。とても難しい技法のため、日本では紺野機業場でしか作られていないそうです。
独特の柔らかさ、ハリ、透明感が特徴で、パリコレにも参加する世界的に有名なブランドなどにも使われているという川俣シルク。紺野機業場は、日本の素晴らしい絹文化を世界に発信していることも学びました。
工場見学では、「ガシャン!ガシャン!」と大きな音が鳴り響き、たくさんの機械が稼働する作業エリアを巡りました。子供たちは、髪の毛よりも細い糸が織られていく様子を、目を凝らして見学していました。
まちの特産品「川俣シャモ」を味わう
工場見学のあとは、「道の駅かわまた」にあるレストラン「Shamoll」(シャモール)でお昼ごはんです。
川俣町の特産品である「川俣シャモ」の肉と卵を使った「“匠”シルク親子丼」は、川俣町に来たら必ず食べておきたい名物グルメのひとつ!
あぶることで香ばしさが加わる川俣シャモ。子供たちは、噛むほどに旨味が広がる弾力あるシャモ肉のおいしさに笑みをこぼしながら、ぺろりと完食していました。
シルクの藍染体験に挑戦!
昼食後は、「道の駅かわまた」内にある「からりこ館」で、川俣シルク製プチスカーフの藍染体験に挑戦しました。
スタッフのみなさんに教わりながら、糸を巻いたり、洗濯バサミで挟んだりと真剣に取り組んでいました。
染料のなかにプチスカーフを入れて浸け込み、水洗いをしたあと広げてみると、一人一人違った美しい模様のプチスカーフが完成! 世界にひとつだけの素敵な作品に仕上がりました。
迫力満点の山木屋太鼓を観賞&太鼓体験
「おじまふるさと交流館」に戻り、「山木屋太鼓」による演目を観賞しました。
山木屋太鼓は、川俣町を拠点に福島県全域で活動している和太鼓団体で、“美しい自然、そしてここが故郷”をテーマに創作した曲の演奏活動をしています。
目の前で繰り広げられる迫力満点の演奏に子供たちは釘付け! 熱気あふれるパフォーマンスは圧巻の一言です。
演奏終了後、今度は、山木屋太鼓のみなさんに教わりながら、子供たちが実際に太鼓を叩いてみます。
さまざまなリズムをレクチャーしてもらい、難しいリズムに悪戦苦闘の様子でしたが、最後は山木屋太鼓のみなさんと一緒にセッション。地域との交流を深める貴重な機会となりました。
仲間たちとともにBBQ &花火
夕食は、山木屋太鼓のみなさんと一緒にBBQと花火を楽しみました。川俣シャモ肉や、農業体験でとったジャガイモなど、川俣町の味をたっぷり堪能!
共演と食事を通じて、山木屋太鼓のみなさんと子供たちはすっかり仲良くなり、花火タイムを和気あいあいと楽しんでいました。
【5日目】木工クラフトを楽しもう
最終日は、紙芝居で里山と川俣町との関わりを学んだあと、木工クラフト体験をしました。
里山の木々を使った木工クラフト体験
1日目に山登りのガイドをしてくれた「福島県もりの案内人」の皆さんと一緒に、川俣町の里山で育った木材を活用したクラフトづくりに挑戦!
道具の説明を聞いたあと、早速作業スタート。子供たちは、自分の手で木を削ったり、パーツを組み立てたりしながら、次第に真剣な表情になっていきました。
そして、動物やロボットなど、個性あふれる作品を次々と完成! どの子も、完成した作品を手に持ち、誇らしげな笑顔を見せていました。
自然とふれ合いながら、その資源を活用したものづくりの楽しさを知る貴重な体験になったようです。
さまざまなプログラムを通して、子供たちの絆が深まっていく様子がとても印象的だった4泊5日の体験学習ツアー。親元を離れて、初めて出会う仲間とともに、日常の暮らしでは体験できない大自然のなかで過ごす時間は、驚きと発見の連続で新しい学びの機会となりました。
川俣町にはまだまだたくさんの魅力があります。ぜひ親子で足を運んでみてくださいね。
記事を書いた人
飯田佐智(Clay)
小学生の娘と金魚2匹と暮らすママライター。旅行、おでかけ、グルメを中心に執筆。趣味はインスタで美味しそうなレシピ(おつまみ♪)を見つけて作ること。海外ドラマが大好きで今まで観た作品は数知れず。
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