謎を解いて東京の離島「利島」へ!
椿油作りを体験【イベントレポ】
「いこーよとりっぷ」の姉妹サイト「未来へいこーよ」では現在、椿油(利島)や黄八丈(八丈島)や江戸切子(江東区)といった「東京のものづくり」をテーマにした子供向け職業体験プログラムを開発しています。
今回は東京から南に約140kmの太平洋上に浮かぶ円すい状の小さな島「利島」(としま)で、江戸時代から続く「椿油作り」をモニター親子に体験してもらいました。
オンラインの事前学習で謎を解いていき、新たなミッションとして「利島で椿油を搾る」という貴重な体験の模様をレポートします。
名産のあめりか芋を掘って食べよう 新島大冒険体験【イベントレポ】
【事前学習】未来の自分からミッションが届く⁉
この体験では、実際に利島に行く約3週間前にオンラインでの事前学習を行います。あらかじめ郵送で届いたキットのなかには、未来の自分からの手紙が入っており、「未来の自分がいる島にかつて存在した『あるもの』が何かを解明してほしい」と書いてあります。
そして茶色い小箱には「あるもの」と関係がありそうな「謎の粒(植物の種)」が…。参加者はキットに入っている「手がかりの書」を使いながら、利島在住のナビゲーター・五十嵐安結(いがらしあゆ)さんと一緒にオンラインで謎に迫っていきます。
なお、参加を申し込んだ親はどこに行くかを知っていますが、オンライン事前学習が始まるまでは子供には行く先を教えないようにお願いしています。
まずは謎解きをして「謎の粒」の答えを見つける
事前学習では「サラダ油は何からできているか?」から始まって、原材料を書いていくと「謎の粒」の答えが見つかるようになっています。
「謎の粒」の正体がわかったところで、次は「東京のある島」がどこなのかを探っていきます。
手がかりの資料にあるマップを見た参加者の子供から「東京都に島がこんなにあるの!?」と驚きの声が挙がるなか、ヒントの証言とキットに隠されていたカードをもとに「東京のある島」が「利島」だということがわかりました。
新たなミッションが出現!利島で椿農業をお手伝いしよう!
「謎の粒」と「東京のある島」の謎を解いた参加者たちに与えられた新たなミッションが「利島に行き、椿農業の仕事を手伝おう!」です。
謎解きをしたことで椿や利島への関心が高まっていた子供たちにとって、とてもうれしい提案! みんなで大喜びしていました。
謎の種の正体と「未来の自分」がいる島がどこかわかったところで、ナビゲーターの五十嵐さんが利島についていろいろと教えてくれました。
利島は端から端まで歩いても15分程度で回れて、住民は約300人という小さな島ながら、日本でトップクラスの椿油の生産量を誇っています。
つまり、新たなミッション「利島に行き、椿農業の仕事を手伝おう!」とは、椿油を作る農家さんのお手伝いをすることになります。
ほかにもコンビニやチェーン店、スーパーがないなどの生活面の話や、椿農業について動画を交えて解説。充実した内容のオンライン事前学習を終え、参加者は約3週間後の旅行に向けて期待に胸を大きく膨らませていました。
東京や神奈川から船に乗って利島へ!
利島へのアクセスは、「竹芝客船ターミナル」(東京都港区)や「久里浜港」(神奈川県横須賀市)などから大型客船や高速ジェット船に乗っていきます。
フェリーの場合は、前日の23時に竹芝客船ターミナルを出発し、最短7時間35分で利島に到着。船の中で一晩を明かして到着するのも、旅の経験としては貴重なものです。なお、高速ジェット船なら最短2時間25分で到着できます。
※船の運行スケジュールは時期によって異なるので詳細は「東海汽船」の公式サイトをご確認ください
到着後、朝食休憩を取ります。周囲を海に囲まれた利島は、あちこちが絶景で少し散歩するだけでも発見や感動があります。
住所は東京都になるのですが、どこまでも広がる海と空のコントラストが、遠い南国まできているように思えるのも魅力。一度きたら忘れられない島です。
【椿畑の見学】農家さんに話を聞きながら椿の特徴を肌で感じる
参加者同士での自己紹介などの簡単なオリエンテーションのあと、近くの椿畑へ見学に行きます。
急な斜面に畑ができていることや椿の木が大きいことなど、現地に行ったからこそわかる発見がたくさんあります。
新たな謎に挑戦しよう!
椿山への見学にあたり、参加者にはワークシートが配られています。このワークシートには、事前学習イベントの続きにあたるミッションが書かれています。
ワークシートは、謎解きを進めるために自分から農家さんに質問するように作られています。知らない大人とコミュニケーションをとることで参加者の自主性を促し、よりよい学びになるよう設計されているのが特徴です。
農家さんに、花が咲く時期や収穫する時期、実がどのようにできるのかを直接質問して教わります。
家族で旅行に行ったときでも農家さんに直接話を聞く機会はなかなかないもの。参加者にとって貴重かつ楽しい時間になりました。
次に実際に落ちている椿の実や種を拾って、その中を見てみます。
椿には「良い実」と「悪い実」があり、悪い実が混ざったまま搾ってしまうと、利島の椿を使った生産品である「椿油」の質が悪くなってしまうそう。実を観察した参加者たちは、次の選別作業と搾油(さくゆ)体験に進みます。
【搾油体験:ステップ1】椿の実を「良い実」と「悪い実」に選別する
選別作業はたくさんの実の中から「良い実」と「悪い実」を分ける作業です。
椿農家さんの「収穫」は椿の実を一つ一つ拾っていくことと、工場に持ち込む前にまず目視で丁寧に選別を行うことの2つの工程があります。4時間かけて拾ったら、4時間かけて選別するほど、選別は重要な作業です(実際には人の目で選別されたあとに、さらに工場の機械でも選別が行われています)。
「悪い実」とは
虫に食われている、油が染み出してしまっている、強い匂いが出ている、腐ってカビが生えているなどの実が「悪い実」です。 実をひとつずつ手に取って、殻に穴が開いていたり、中身が空っぽになっていたり、殻の色が黒くなっていないかなどをチェックして選別します。
【搾油体験:ステップ2】「良い実」を割って殻から出し、砕いてから搾油する
「良い実」が見つかったら、ペンチのような「殻割り機」を使って殻を割ります。中身を確認して問題がなければプラスチックのコップにためておきます。殻は別の場所でまとめて捨てます。
選別して殻を割った実がコップいっぱいになったら袋に詰めて封をして、上からハンマーで叩いて砕きます。
十分に実が砕けたら電子レンジで2分温めて、いよいよ搾る準備が完了です。
選別した椿を搾って油を取り出す
圧搾(あっさく)機の皿に砕いた実を入れてレバーを倒すと、圧搾機の先端から椿油が流れてきます。
搾りたての椿油が出てくる様子に思わず歓声があがります。参加者の子供からは「うれしい! でも、これだけ苦労してほんの少ししか取れないこともわかった」と椿油の価値があらためて実感できたようです。
搾った椿油はマイボトルに入れて持ち帰ることができます。
【苗づくり】「実生」と「接ぎ木」の2種類を体験
椿を継続して育てるためには、実を発芽させて育てる「実生」(みしょう)や、優良樹を選んで同様の特性を持つ苗を増やす「挿し木」、良い樹と良い根を結合させていく「接ぎ木」などの方法があります。
今回は、参加者が「実生」と「接ぎ木」を体験しました。
実生について
実際に育つまで木の特性がわからないものの、家まで持ち帰れるのでお土産になります。
接ぎ木について
まず新芽の根本にあたる部分をナイフで切ります。
台木に切り込みを入れたものと、根本を切った新芽を合わせてテープで固定。接ぎ木した椿は、利島で大切に育てられます。
持ち帰る「椿」と残していく「椿」。2つの椿があることで、家に帰ってからも利島での思い出が残る体験になります。
【したくさ刈り体験】椿の収穫に欠かせない「したくさ刈り」を知る
次に体験するのは「したくさ刈り」です。
椿の実は、自然に落ちたものをひとつずつ拾い上げて収穫します。椿の木の下に草が生えていると、実が見つけられず収穫にとても時間がかかってしまいます。
定期的に木の下にある草を刈って、落ちた実を拾いやすくするのが「したくさ刈り」です。
体験では、農家さんに草を刈る作業を実際に行ってもらい、参加者はその様子を見学しつつ「刈った草を集めて燃やす」作業を担当します。
近年は住宅の近くでは焚火ができないこともあり、日常生活で草木を燃やすことも今では貴重な体験のひとつです。参加者は椿農家さんの指示に従いながら、慎重に火を扱っていました。
すべてのミッションをクリアして任務完了証をゲット!
「搾油」と「したくさ刈り」を体験してキーワードを集め、ミッションをクリアすると、ナビゲーターの五十嵐さんから「任務完了証」が渡されます。
「謎解き」を軸にして楽しみながら利島や椿油について興味を持ってもらい、実際に利島へ行ったあとは現地の農家さんたちとふれあい、椿油作りの大変さや価値、利島での暮らしもわかる体験となりました。
このイベントは2023年夏の本格稼働に向けて、現在鋭意ブラッシュアップ中です。大人も子供も楽しくて学びのあるイベントにしていきますので、開催時はぜひご参加ください。
記事を書いた人
いこーよとりっぷ編集部
「いこーよとりっぷ」では、地域の伝統行事や季節毎のイベント情報など、地域の魅力を発信し、親子にとって「10年先も思い出す」おでかけ体験を提供していきます。
- ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。