“江戸の職人スタイル”で銀を叩く
『銀師』の技で東京銀器製作を体験
「東京銀器(とうきょうぎんき)」は、台東区や文京区、荒川区を中心とした地域で作られている伝統工芸品。
台東区にある「日伸貴金属」では、江戸時代から続く技を受け継ぐ「銀師」(しろがねし)から指導を受けられる体験教室を実施しています。
今回は、小学4年生の「ふうちゃん」がママと一緒に「初級コース ~オリジナルしおり~」製作を体験してきました!
「東京銀器」とは
「東京銀器」の歴史の始まりは、江戸中期頃といわれています。
その後、1867年の第2回パリ万国博覧会では、日本の銀製品の美しさと高い技術が世界的に広まりました。第二次世界大戦後は外国人の往来が増え、スプーン・フォーク・アクセサリー類など銀製品の需要も拡大。
1979年には国の伝統的工芸品に、1982年には東京都伝統工芸品にも指定されました。
地金の銀に純度92.5%以上のものを用いるのが、東京銀器の特徴のひとつです。
「銀のしおり」作りに挑戦!
「日伸貴金属」は、都営浅草線、都営大江戸線の「蔵前駅」から歩いて10分ほどの、表通りから路地を入った一角にあります。一見普通のビルですが、中から「カンカンカン」と金属を叩く音が聞こえてきます。
体験は、入口に近い畳敷きの小部屋で行われます。これは、江戸時代と同じ製作スタイルだそう。
製作体験コースは初級から上級まであり、初体験の今回は初級の「オリジナルしおり」を作るコースを選びました。
■初級コース ~オリジナルしおり~
開催日時:月~日曜9:00~20:00の時間帯で、希望の時間を要相談
予約:完全予約制
※先約やイベント対応により開催できない場合があるため、希望日を2~3日あげて申し込むとスムーズ
対象:誰でも体験可(小学生以下は保護者のサポートが必要)
料金:一般3,600円、学生2,500円(約60~90分)
※【中級コース~オリジナル手打ち指輪~】一般5,800円、学生3,600円(約90~180分)などもあり
【ステップ1】東京銀器の歴史と伝統的工芸品について学ぶ
まずは畳の上に座り、東京銀器の成り立ちや製法、また日本の伝統的工芸品についてのお話を伺います。
教えてくださるのは、優しい笑顔で気さくにお話をしてくださる、江戸十二代目銀師の上川宗伯(かみかわそうはく)さんです。
ちょうど学校の授業で「日本の伝統工芸」について学んでいる小学4年生のふうちゃんは、「それ、知ってます!」「そうなんですね!」と、興味津々な様子で上川さんの説明を聞き入っていました。
道具の扱い方を練習!
次に、使用する道具についての説明を受けます。
体験教室とは言え、使用する金鎚(かなづち)や台(以降、あて金)は、職人さんが使用する本物。うっかりケガをしないように、しっかりと使い方を練習します。
【ステップ2】まずは裏面を叩いて金鎚の扱い方に慣れる
いよいよ、叩く作業がスタート!
「この体験で使用しているのは、純度97%の銀です。柔らかいので細工がしやすいですよ」と上川さん。お手本を見ながら、どのような模様にするかを考えます。
最初に叩くのは、しおりの「裏側」。全体的に満遍なく叩いて下地を作ります。
小さなしおりなので、フチの部分を叩くのがちょっと難しい…。小さな金鎚で、丁寧に、慎重に作業を進めます。
【ステップ3】模様を決めてから、表面を叩く!
次は表面です。
金鎚を叩く方向で、模様の出方が変わります。最初にどのような模様にするか、ペンで下描き。
縦と横を格子状に叩くデザインに決まりました!
叩いているうちに、薄い銀板は反ってきてしまうので、そのたびにあて金に押し付けて平らにするのがポイントです。
カンカンカン、と心地の良い音が響きます。リズミカルで迷いのない作業が続き、親子とも真剣そのもの。
ずっと同じ姿勢でいると、体がこわばります。上川さんのアドバイスで、疲れてきたらストレッチ!
40分ほどで、模様を叩く作業は終了。このあとは、銀を磨く仕上げの作業です。
【ステップ4】仕上げ磨きでピカピカに!
専用の研磨剤を柔らかいネルの布につけてしおりを擦ると…ビックリ!
白い布に黒っぽい汚れがたくさんつきました。研磨剤の成分が銀に反応をして黒くなります。布の汚れていない部分を使って何度も擦ると、しおりはピカピカになりました。
「わー! すごくきれいになった」とうれしそうなふうちゃん。銀は使用しているうちに硫化して黒ずんでいきますが、日常的には消しゴムでお手入れできるそうですよ。
最後に、紐を通して完成! 読書が大好きなふうちゃんの、宝物になりました。
体験を通して、「東京銀器」の魅力を知ってほしい
実はこの体験まで、ふうちゃんとママは東京の伝統工芸品に銀器があることを全く知らなかったそう。
「東京には『銀座』があるように、貨幣作りとしての銀細工は古くからあったのですよ」と上川さんからうかがい、「銀座もそうなんですね!」と納得するママ。
「東京銀器について、ご存知ない方はたくさんいます。だから私たちは、東京銀器の歴史や魅力を子供たちや若い方に伝えていきたいんです。まずは知っていただいて、そして使っていただいてこその伝統的工芸品ですからね。そのために、この場所だけでなく、ホールやイベント会場など、さまざまな場所で体験教室を実施しています」という上川さんの言葉を聞き、あらためて今回作ったしおりを見つめる2人。
今まで知らなかった、東京銀器の歴史や技術にふれ、さらに伝統工芸への興味が深まった90分でした!
とりっぷノート! 体験後の工房見学もおすすめ♪
体験終了後、実際の工房を見学させていただきました。
所狭しと並ぶ道具の数々は圧巻! これだけでなく、倉庫にもたくさん保管されているそうです。
何代も受け継いで使われている道具たち。今は道具を作る職人さんが減り、手に入らないものも多いとか。日々、道具も丁寧に手入れしながら、これからもずっと使い続けていくのだそうです。(いこーよとりっぷライター:オヤマフミカ)
記事を書いた人
オヤマフミカ
すでに子育ては卒業した、旅好き&イベント好きライター/Webディレクター。趣味は舞台鑑賞とハイキング。最近は登山に行って「ヤマメシ」を作ることにハマっています。面白そうなイベントには積極的に参加し、人と話して輪を広げるのが楽しみ。
スポット基本情報
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スポット名 | 日伸貴金属 |
ふりがな | にっしんききんぞく |
住所 | 東京都台東区三筋1-3-13 伊藤ビル1階 |
電話番号 | 03-5687-5585 |
営業時間 | 9:00~17:00 ※体験教室は9:00~20:00の時間帯で、希望の時間を要相談 |
定休日 | 土・日・祝日 ※体験教室は不定休 |
料金 | 【初級コース~オリジナルしおり~】一般3,600円、学生2,500円/【中級コース~オリジナル手打ち指輪~】一般5,800円、学生3,600円など |
アクセス | 【電車】都営浅草線「蔵前駅」から徒歩で約7分、都営大江戸線「蔵前駅」から徒歩で約10分 |
駐車場 | 駐車場なし |
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