八丈島が誇る伝統工芸品「黄八丈」
手織り体験にチャレンジ!
茨城県や栃木県がおもな産地の「結城紬」(ゆうきつむぎ)、鹿児島・奄美群島の織物「大島紬」と並んで、日本三大紬のひとつといわれる「黄八丈」(きはちじょう)。東京都の離島・八丈島に伝わる絹織物で、島内に自生している植物で染めた糸を使って織られています。
江戸時代後期には「恋娘昔八丈」という人形浄瑠璃で黄八丈の衣装が採用され、のちにこの作品が「恋娘昔八丈-お駒才三(おこまさいざ)-」という歌舞伎になったことから、黄八丈が庶民の間でも爆発的な人気に。
江戸時代から明治44年(1911年)まで、八丈島の年貢(税金のこと)は現金ではなく黄八丈で納められていたほどの価値がありました。
現在でも八丈島を代表する特産品のひとつである黄八丈ですが、島内にある「八丈民芸やました」ではその手織り体験と染色体験ができます。
今回は、小学校4年生と5年生の2人が挑戦してきました!
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください
自分で糸を染めて機織り機で織る! 黄八丈づくり体験【イベントレポ】
「黄八丈」とは
黄八丈は、黄色、樺(かば)色、黒色の3色を基調とした絹織物で、経済産業省指定の伝統的工芸品として、また東京都が指定する伝統工芸品としても認められています。
黄色はハチジョウカリヤス(コブナ草)、樺色はマダミ(タブノキ)の樹皮、黒色はシイノキの樹皮で染め上げます。植物はすべて昔から島内に自生しているものを用いています。
「八丈民芸やました」で黄八丈手織り体験に挑戦!
八丈島空港と底土(そこど)港から、それぞれ車で5分程度の場所にある「八丈民芸やました」。黄八丈の民芸品が並ぶ店内の一角に、古い機織り機が並んでいます。
明治時代から変わらぬ「高(貴)機」(たかはた)という歴史ある機織り機が4台。これらは実際に職人が使用しているもので、以前は「手をふれないでください」の注意書きと共に店内に展示してありました。
ですが、訪れる観光客の多くが興味深そうに見ていた様子から、手織り体験を企画したところ、これが大好評! 今では多くの人が、旅の記念として体験に訪れています。
八丈島来島の前から、「体験」が始まっています!
「黄八丈機織り体験」を申し込むと、八丈島を訪れる前に絹糸を染めるためのキットが自宅に郵送されてきます。まずはこのキットで、織りに使用する「糸」を染めるのです。
染料は、玉ねぎの皮や自宅の庭に生えている草花など、なんでもOK! 同封された説明書に添って糸染めを行い、これを持って八丈島に向かいます。
もし自宅で糸を染められない、また直前の予約で時間に余裕がない場合などは、体験用に用意されている糸を使用することもできます。
【織物体験】「自分が染めた糸」で手織りスタート
指導してくださるのは、「八丈民芸やました」の店主で、東京都黄八丈伝統工芸士の山下巧(やましたたくみ)さんです。
まず糸枠に糸を入れるところから、手織り体験がスタート。糸車に糸を通して歯車を回すと、ボビンに糸が巻き付きます。次に、ボビンを「シャトル」と呼ばれる舟形の器具にセット。
機織り機には、すでに「縦糸」がセットされています。足元にあるペダルを踏むと縦糸の位置が変わるので、シャトルで横糸を通します。
そして、櫛(くし)の歯のような「筬」(おさ)と呼ばれる部分を手前に引いて横糸をトントンとそろえ、ペダルをカタンと踏み返してから、また横糸を通し、筬でトントンそろえ…。
これを繰り返すことで、黄八丈が少しずつ織られていきます。
失敗しても大丈夫!色を選びながら模様を作っていこう
途中で横糸の種類を変えることで、格子状に色が変わり、模様が生まれます。
もしペダルを踏み間違えても、戻って修正ができるので大丈夫! 自分だけの色の組み合わせを考えながら、丁寧に織っていきましょう。
「子供たちは、私たちが思いつかないような斬新な色使いをするので、ハッとさせられることがありますよ。自分だけの模様を生み出してほしいですね」と山下さん。
最初はゆっくりと、慎重にシャトルを動かす2人でしたが、10分ほど経つと慣れてきた様子で、徐々にスピードアップ。
従来の黄八丈には使用していなかったフリージアの花や月桃(げっとう)で染めた薄ピンク色などの糸も交えながら、楽しそうに織り進めていました。
「ゆっくりやると、間違えないね」「間違えてもやり直せるから、緊張しなかった」と、楽しそうに話してくれました。
完成!
60分の体験時間では、おおよそ12~13cmほどの黄八丈が織り上がります。体験終了後、山下さんによって端処理などの最終仕上げが行われ、後日自宅に郵送されます。コースターや小さな敷物として使うのにもぴったり!
また希望があれば、今回の2人が体験したように、カード入れなどに加工してから発送することも可能です(別途プラス料金がかかります)。直接、山下さんに相談してみてくださいね。
【黄八丈手織り体験】
所要時間:約60分
料金:3,300円~(郵送料込み)
対象:小学3年生以上推奨
【染色体験】伝統の「色」に染めてみよう!
「八丈民芸やました」では、染色体験も行っていて、布や織り体験に使う糸をその場で染めることもできます。
用意されている染料を使うだけでなく、自分で木の皮を剥いで煮詰め、染料を作る工程から体験することも可能です。
染めるものは、用意されたシルクチーフのほか、持ち込んだ布類でもOK。ただし「綿は染まりにくいので、Tシャツなどはちょっと難しいかも…」と山下さん。シルクが一番染まりやすいそうなので、ハンカチやスカーフなどがあれば、ぜひ持参してみましょう!
「こんな柄になるんだ!」と出来上がりを面白そうに眺める2人。それぞれの個性が表れた、素敵な染め上がりになりました。
【染色体験】
所要時間:約60~90分
料金:3,300円(シルクチーフ材料付き)
※別途、材料持ち込み可。持込料は無料
対象:小学3年生以上推奨
今回、約60分の織物体験で完成した黄八丈は、わずか12cmほど。着物1着分の布を織るのにはどれほどの時間がかかるのだろう…と、黄八丈の奥深さに2人とも驚いた様子でした。
八丈島の自然と職人の手が生み出した黄八丈の魅力にふれることができた、楽しい体験になりました!
とりっぷノート!体験プランを相談してみましょう
「八丈民芸やました」さんの体験プランは、とても柔軟です。山下さんによると「到着時間や体験したい内容を事前にご相談いただければ、随時対応しています。『皮剥からやりたい』『その場で糸を染めたい』など、やってみたいことをまずは教えてください!」とのこと。
「八丈島にわざわざ来ていただくのだから、やりたいことを、思いっきり体験していただきたいですね」という山下さんの言葉に、「次は何をやってみようかな?」とワクワクしっぱなしの子供たちでした!(いこーよとりっぷライター:オヤマフミカ)
記事を書いた人
オヤマフミカ
すでに子育ては卒業した、旅好き&イベント好きライター/Webディレクター。趣味は舞台鑑賞とハイキング。最近は登山に行って「ヤマメシ」を作ることにハマっています。面白そうなイベントには積極的に参加し、人と話して輪を広げるのが楽しみ。
スポット基本情報
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スポット名 | 八丈民芸やました |
ふりがな | はちじょうみんげいやました |
住所 | 東京都八丈島八丈町三根1029-7 |
電話番号 | 04996-2-3476 |
営業時間 | 9:00~17:00(各種体験は9:30~16:30) |
定休日 | 不定休 |
料金 | 【黄八丈手織り体験】3,300円~(郵送料込み)、【染色体験】料金:3,300円(シルクチーフ材料付き) |
アクセス | 【車】八丈島空港から車で約5分、底土港から車で約6分 |
駐車場 | 駐車場あり |
公式URL | 公式URLはこちら |