菜の花の絶景!「いすみ鉄道」の
親子旅で春にやりたい11のこと
千葉県大多喜町(おおたきまち)といすみ市内を走行する「いすみ鉄道」は、“菜の花列車”の愛称で知られるローカル鉄道。毎年3月上旬頃になると沿線に菜の花が咲き誇り、一面の菜の花の中を列車が走る、牧歌的な風景が広がります。
周辺には地元のグルメや温泉、立ち寄りスポットも満載! 都内から日帰りでサクッと楽しめるのはもちろん、気軽に宿泊できる施設も充実しているので、週末の家族旅行にもぴったりです。
そこで今回は、春のいすみ鉄道の楽しみ方をご紹介。たまにはローカル列車に揺られて、親子でのんびり旅をするのも、なかなかいいものですよ♪(いこーよとりっぷライター・齋藤久美子)
取材協力/いすみ鉄道株式会社、大多喜町商工観光課
「いすみ鉄道」とは
「いすみ鉄道」は、房総半島に位置する千葉県いすみ市と大多喜町を走るローカル鉄道。JR外房線も走っている「大原駅」から「上総中野駅」までの14駅、26.8kmの区間を結んでいます。
路線が開通したのは1930 年(昭和5年)のこと。当時は「大原駅」から「大多喜駅」間を運行していましたが、4年後の1934年には「上総中野駅」まで延長されました。
自然あふれる景色の中をガタンゴトンと走り抜けるレトロな車両は趣たっぷり。車窓を流れる風景をのんびり眺められるのも、ローカル線の旅ならではです。
そんないすみ鉄道の春の風物詩といえば、線路沿いに菜の花が広がるのどかな風景。いすみ鉄道の社員をはじめ、沿線の市町や近隣の企業、住民が協力して菜の花の種を蒔き、地域全体で美しい景観を守っています。
菜の花が咲き渡る光景を車内から眺めれば、まるで黄色いじゅうたんの上を走っているかのよう! “菜の花列車”の愛称でも親しまれ、毎年多くの観光客が訪れているんです。
「いすみ鉄道」の路線図をチェック!
始発の「大原駅」から終点の「上総中野駅」までの乗車時間は、約55分。「上総中野駅」は小湊鉄道と接続しています。この2線を乗り継げば、房総半島を横断する列車旅が楽しめます。
お得なチケット情報
いすみ鉄道の旅を満喫するなら、乗り降り自由の「1日フリー乗車券(平日大人1,200円、子供600円/土日祝大人1,500円、子供750円)」がお得。
いすみ鉄道と小湊鐵道に乗って房総半島を横断するなら「房総横断記念乗車券(大人1,730円、子供870円)」もあります。こちらは各駅で途中下車はできますが、片道乗車券のため下車した駅より後戻りができないのでご注意を。
「いすみ鉄道」の親子旅でやりたい11のこと
せっかく親子でいすみ鉄道に乗るなら、途中下車をして周辺のスポットにも立ち寄りたいですよね。沿線には房総ならではの楽しい体験やおいしいグルメがいろいろ! 思い出に残る旅プランの参考にしてみてくださいね。
1.「いすみ鉄道」の車窓から満開の菜の花をお花見【沿線全域】
線路の両脇を満開の菜の花が埋め尽くす、この美しい光景。駅舎や沿線からはもちろん、車窓からの眺めも見事です。
菜の花の見頃は?
菜の花が見頃を迎えるのは、毎年いつ頃なのでしょうか?
「いちばんの見頃は2月中旬~3月下旬頃。少し肌寒い時期から春の気分を満喫できますよ。その年の気候条件などによって時期が多少ずれることもあります」(いすみ鉄道)
お弁当を買って列車内からお花見♪
大原駅の売店で駅弁を購入し、ランチを楽しみながら車窓を眺めれば、お花見気分がいっそう盛り上がります♪(週末限定、事前予約が必要)
菜の花の絶景ポイントは?
菜の花の絶景を見逃さないよう、乗車前にビューポイントを確認しておきましょう! 菜の花は全線26.8kmのうち15kmの区間で開花しているため、ほとんどのエリアで見ることができます。
特にポイントとなるのは、「新田野駅」周辺、「国吉駅」~「上総中川駅」間、「上総中川」駅~「大多喜駅」間、「城見ヶ丘駅」周辺、「総元駅」〜「西畑駅」間、「東総元駅」周辺、「西畑駅」〜「上総中野駅」など。
3月下旬頃~4月上旬頃は沿線の桜が見頃を迎えます。タイミングが合えば菜の花と桜の美しいコラボが楽しめますよ。
“菜の花列車”を撮影する際の注意点
写真撮影の際は、安全や地域住民のみなさんに配慮しながら行うことが大切。気を付けたいポイントをいすみ鉄道スタッフの方に伺いました。
「駅のホームでは白線の内側に入り、列車と距離をとってください。危ないので三脚を立てるのはNGです。沿線で撮影する場合は、私有地が多いのでご注意ください。車の場合は路上駐車をしないようにしてください。また運転席に向かってのフラッシュ撮影は、大変危険なので厳禁です」(いすみ鉄道)
ルールを守って、楽しい旅を満喫しましょう!
2.「養老渓谷」でマイナスイオンを浴びる【上総中野駅】
房総半島のほぼ中央に位置する養老渓谷。大多喜町粟又(あわまた)地区から市原市の朝生原地区まで、養老川沿いに広がる美しい渓谷です。
秋には多くの人が訪れる紅葉の名所ですが、新緑に彩られる春もおすすめ。房総随一の温泉郷としても有名です。
いちばんの見どころは、全長100mにも及ぶ房総最大級の「粟又の滝」。遊歩道が整備されているので、子供と一緒に滝の目前まで近づくことができます。
岩肌をゆるやかに流れ落ちる姿を実際に近くで眺めていると、心まで洗われていくよう! 写真で見る何倍ものパワーをもらえます。
周辺には日帰り温泉も!山々を見渡す露天風呂でのんびり♡
周辺には、日帰り入浴ができる温泉施設もあります。予約なしで訪れるなら、粟又の滝より少し上流のエリアにある日帰り温泉施設「滝見苑 けんこう村 ごりやくの湯」へ。
山々を見渡す開放的な露天風呂のほか、食事処もあり、親子でゆっくりと休憩できそうです。
■アクセス
いすみ鉄道「上総中野駅」からバスで約15分
3.大多喜町名物のタケノコを掘る【西畑駅、総元駅ほか】
タケノコは大多喜町の特産品の1つ。町内には、毎年3月下旬~4月中旬頃にたけのこ掘りが楽しめるスポットがいくつかあります。
いすみ鉄道からアクセスしやすいのは、「西畑駅」から車送迎(要事前予約)を行っている「平沢たけのこ村」、「総元駅」から徒歩約20分の「大多喜カエムたけのこ園」などです。
農園の方に聞いてみると、「大多喜町で採れるタケノコは、アクが少なくおいしいと評判」なんだとか。なにより“自分で掘った”ということが子供にとっては貴重な体験になりそうです。
収穫したばかりの新鮮なタケノコで作る料理はきっと格別ですよ♪
4.「黒原不動滝」で悠々と泳ぐ鯉のぼりを眺める【総元駅】
この鯉のぼりを掲揚しているのは、地域ボランティア「不動滝五月会」の皆さん。ほかにも、いすみ鉄道の沿線や黒滝の中洲に桜の苗木を植樹するなど、地元を盛り上げる活動を行っています。
約50匹の鯉のぼりが優雅に泳ぐ光景が見られるのは、3月下旬~5月上旬頃。里山ののどかな景色とともに、のんびりと楽しめそうですよ。
アクセスは「総元駅」から徒歩で約5分です。かわいい駅舎の周辺に菜の花が広がるのどかな風景は、まるで童話の世界! 旅の記念撮影にもぴったりです。
■アクセス
いすみ鉄道「総元駅」から徒歩で約5分
5.「房総の小江戸」で人力車に乗る【大多喜駅】
大多喜町は江戸時代、徳川四天王の1人だった本多忠勝(ほんだただかつ)が居住した「大多喜城」を中心に栄えた歴史あるまち。「大多喜駅」周辺には、かつての城下町の面影が今も残っています。
大多喜駅前の観光案内所「観光本陣」から出発する人力車でまちを巡れば、江戸時代にタイムスリップしたような感覚に浸れます。歴史に興味がなかった子も、体験を通じて、そのおもしろさに気づけそうですね。
通常コースでは、国の有形文化財に登録されている「大屋旅館」や「豊乃鶴酒造」、江戸時代に建築された町家などを1時間かけて巡ります。好きなコースを自分で設定でき、立ち寄りたい場所で人力車を降りることも可能です。
利用は「観光本陣」に事前予約が必要。1回1時間3,000円で2人まで乗車できます。そのほかレンタサイクル(チャイルドシート付き、子供用あり)や超小型モビリティの貸し出しも行っています。
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」より徒歩で約1分(観光本陣)
6.「大多喜城」を撮影する
城下町めぐりとあわせて、「大多喜城」にもぜひ足を運んでみましょう。例年3月下旬~4月上旬頃は、白いお城と桜のコラボが見事ですよ。
※天守閣の「千葉県立中央博物館大多喜城分館」は、2023年2月現在、改装工事のため休館中です
※敷地内からお城を撮影することは可能です(建物内には入れません)
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」から徒歩で約15分
7.「商い資料館」で大多喜商人の暮らしを体感【大多喜駅】
大多喜町の歴史をもっと深く知りたいなら、「大多喜駅」から徒歩約5分の「商い資料館」に足を運んでみて。ボランティアのガイドさんが、大多喜町のことをいろいろと教えてくれます。
土蔵造りの商家を利用した建物の1階には、商店や旅館などの帳場が再現され、商いに使用されていた貴重な道具が並んでいます。実際に使われていた宿泊帳簿なども手にとって見ることができますよ。
2階には、昔の暮らしを支えた用具や懐かしの玩具を展示。ガイドさんの解説付きだと、興味や関心がグンと高まるから不思議です。
入館料は無料。屋外には日本庭園もあり、ゆっくりと楽しめます。
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」から徒歩で約5分
8.古民家に宿泊する【大多喜駅】
大多喜町をのんびり満喫するなら、1泊2日の家族旅行を計画してみては。周辺には温泉宿も点在するほか、登録有形文化財に指定されている宿や、古民家を改装したおしゃれな宿泊施設もファミリーに人気です。
江戸後期創業の老舗「大屋旅館」
かつての雰囲気をリアルに体験するなら「大屋旅館」へ。江戸時代の後期より、大多喜城下の旅籠(はたご)として営んできた歴史ある旅館で、あの正岡子規も宿泊したという老舗中の老舗です。
現在の建物は1885年(明治18年)頃に建てられたもので、母屋は国の登録有形文化財に指定されています。周辺でもひときわ目を引く、風情ある佇まいです。
電話室、囲炉裏、下駄箱と、かつての生活道具がさりげなく置かれた館内は、趣たっぷり。2階にある畳敷きの懐かしい客室には、テレビやエアコン、wi-fiも完備されています。
宿泊は素泊まり5,800円、朝食付き6,800円~です。
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」から徒歩で約8分
体験満載!一棟貸しの古民家宿「まるがやつ」
2万平方メートルの広大な敷地に佇む、築200年ほどの古民家を活かした体験型宿泊施設。
一棟貸しの宿「萱」、古民家グランピング「蔵」のほか、1日1組限定のキャンプサイト「宙」(そら)があり、いずれも家族で貸し切ることができます。
「遊ぶ、学ぶ、育てる、食べる」をコンセプトに、農業体験や味噌作り、囲炉裏での食事、かまどでの飯炊きなど、日本の古き良き暮らしを感じられる体験が目白押し。
里山で昆虫を探したり、お手玉作りに挑戦したりと、まるで本当の田舎に帰ってきたような気分が味わえる宿です。
1棟貸し切り料金は、「萱」1泊66,000円~(6人まで。7人目からは中学生以上11,000円、小学生5,500円、未就学児無料)、「蔵」1泊39,600円~(2人まで。3人目からは中学生以上5,500円、小学生3,300円、未就学児無料)です。
※萱・蔵とも素泊まり料金
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」からタクシーで約10分
9.「大多喜ハーブガーデン」で季節のハーブに癒やされる【大多喜駅】
約4,500平方メートルの広さを誇る「大多喜ハーブガーデン」では、季節ごとに200種以上のハーブが育てられており、ハーブとふれあいながらのんびり過ごすことができます。
アクセスは「大多喜駅」からタクシーで5分ほど。全天候型の室内ガーデンなので、雨の日も安心です。
園内は自由に散策可能。いろんなハーブを見ていると、どんな味や香りがするのか知りたくなるものですが…。
「それなら、ガーデン内にある『ハーブつみコーナー』(500円)がおすすめ。自分で摘んだハーブをフレッシュハーブティーにしてその場で味わえます。残ったハーブはパックに入れてお持ち帰りください」(スタッフ・瀧口さん)
お花摘みのような感覚で楽しめるから子供たちにも人気なのだとか。自分で摘んだハーブをすぐに試飲できるのも、子供にとって興味深い体験になりそうですね!
散策後にぜひ立ち寄ってほしいのがガーデンを一望できるレストラン。オープンテラス式の開放的な空間で、ガーデンで栽培するフレッシュハーブをふんだんに使用した料理やドリンクが楽しめるんです。
フレッシュハーブを使ったドリンクやスイーツも充実しています。
お土産には、ガーデンで1つ1つ丁寧に手作りするハーブティーやバジルペーストを。ハーブの香りとともに、親子旅の楽しい記憶がよみがえりそうですね。
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」からタクシーで約5分
10.「ポッポの丘」の「カフェTKG」で卵かけご飯を食べる!【大多喜駅・上総中川・大多喜駅】
鉄道ファンから”聖地”と呼ばれる「ポッポの丘」には、かつて房総エリアを走っていた懐かしの鉄道車両が勢揃い!
貴重な車両を間近で見られるのはもちろん、列車の中に入ることもでき、子供にとっては思い出に残るワクワク体験になるはずです。鉄道好きの子供がいるなら、ここは外せません。
自然豊かな小高い丘に展示されているのは、いすみ鉄道や銚子電鉄、千葉都市モノレールの旧車両から国鉄時代の車両など、全28両です。
ここを訪れたら、ぜひ利用したいのが「カフェTKG」。
地元の農場から届く産みたて卵の「たまごかけごはん(TKG)」(605円)を、いすみ鉄道の旧車両内で食べられるんです。鮮度抜群の、濃厚でとろとろな卵を熱々ごはんとともにかっ込めば、う~ん、最高! 車内で食べると、なんだか旅気分も味わえます。
アクセスは「大多喜駅」からタクシーで約10分。大多喜駅のレンタサイクル(有料)を利用するのもおすすめです。
■アクセス
いすみ鉄道「大多喜駅」からタクシーで約10分
11.大原漁港・漁協直営「いさばや」で名物のマダコを食す【大原駅】
房総を訪れたら、やっぱり新鮮な魚介が食べたい! そんな親子は、「大原駅」から徒歩で約20分の漁協直営食堂「いさばや」へどうぞ。
「大原のマダコは明石のタコと並んで、“日本2大タコ”ともいわれています。現在も伝統的なタコつぼ漁で1匹ずつ捕獲しているんですよ。外房で獲れるマダコは伊勢海老を食べているので味が濃いといわれているんです!」(いさばやスタッフ)
とれたてのマダコは、甘みがあって歯ごたえもプリプリ! 「いさばや」では昔から地域の漁師の家庭で食べられていたゆで加減、味付けで味わうことができます。刺身はもちろん、唐揚げや天ぷらも絶品ですよ。
「いさばや」がある大原漁港では、毎週日曜の8~12時に「港の朝市」が行われています。朝市には、地元の海産物をはじめ、農産物や加工品などバラエティに富んだ約40の店舗が大集合。
お土産はもちろん、朝市で購入した新鮮な魚介や野菜をその場で焼いて食べられるコーナーもあるので、ぜひ立ち寄ってみてください♪
■アクセス
いすみ鉄道「大原駅」から徒歩で約20分
春の房総は楽しいことづくし! かわいい菜の花列車に乗って、春を先取りしてみてはいかがでしょう♪
記事を書いた人
齋藤久美子
おでかけ、グルメ、レシピ、育児ライター。栄養士。趣味は食べ歩き。最近の楽しみは何もない休日に子供と一緒にふらりと遊びにでかけること。
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