2024~2025全国の埴輪・土偶展9選
ハニワ界のスターと会える博物館も
2024~2025年は、日本全国で埴輪・土偶に関する展覧会が目白押し。
東京・上野の「東京国立博物館」では、同館所蔵の「埴輪 挂甲の武人」が国宝指定50周年を迎え、特別展「はにわ」に“ハニワ界のスーパースター”が大集合!
千代田区の「東京国立近代美術館」では埴輪・土偶ブームの裏側を掘り起こす「ハニワと土偶の近代」が開催され、ほかにも日本各地で個性あふれる展覧会が行われています。
そこで今回は、全国で2024~2025年に開催される「埴輪・土偶展」をご紹介。どこかユーモラスでホッとする、埴輪・土偶の魅力を親子で体感してみませんか?
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報は、公式サイトをご確認ください
埴輪と土偶をあらためておさらい!いつ・なぜ作られたの?
歴史の教科書にも登場し、きっと誰もが子供の頃に親しんだ埴輪と土偶。混同されがちですが、作られた時代も特徴も異なります。
古墳時代、王の墓に並べられた「埴輪」
埴輪とは、王の墓である古墳に立てて並べられた素焼きの焼き物のこと。死者の魂を守り鎮めるためのものと考えられています。
3世紀後半から7世紀の古墳時代には、日本全国に数々の古墳が築かれ、たくさんの埴輪が作られました。
大きく分類して動物・家・人物を象った形象埴輪と、円筒型の埴輪の2種類があり、形象埴輪はその服装や髪型、持ち物、建築様式などを通じて古代人の生活を現代に伝えてくれます。
謎多き「土偶」は縄文生まれ
一方、土偶は縄文時代に作られた土製の人形です。
ほとんどの土偶は姿形から女性像とみられ、「生命を育む女性の神秘を表している」「豊穣を祈ったのでは」「安産のお守りかも?」「呪術や祭祀に用いられた」など、さまざまな説があります。
縄文時代の精神文化に深く関わりがあると考えられていますが、土偶が作られた目的や使い道はいまだ謎に包まれています。
【東京都台東区】東京国立博物館:特別展「はにわ」
東京・上野にある「東京国立博物館」の「平成館 特別展示室」では、同館所蔵の「埴輪 挂甲の武人」が国宝指定50周年を迎えることを記念して、特別展「はにわ」を開催中。
会期は2024年10月16日(水)から12月8日(日)まで。開催前から話題を集め、11月6日(水)時点で来場者10万人を突破しました。
埴輪界の2大スーパースター「埴輪 挂甲の武人」「埴輪 踊る人々」が登場!
日本で発掘された数ある埴輪のなかでも、国宝「埴輪 挂甲の武人」は最高傑作といえる作品。
日本各地とアメリカからも、古墳時代に同一工房で製作されたと考えられる“兄弟たち”が集結し、5体揃ってお目見えします。
また、日本一有名な埴輪といっても過言ではない「埴輪 踊る人々」も見ることができます。
どことなくユーモラスな2体の人物埴輪は、同展覧会に向けて2022年10月から解体修理が行われ、いよいよ修理後初の展示となります。
古墳時代も今も幼子を抱く姿は同じ
茨城県ひたちなか市からやってきた「埴輪 乳飲み児を抱く女子」も必見です。幼子に母乳を与える母親像に、自分の姿を重ねてしまうママもいるかもしれませんね。
素朴でどことなく“ユルい”人物から、かわいい動物、精巧な武具や家にいたるまで、埴輪の魅力がぎっしり詰まった展覧会です。
■イベント概要
名称:挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
会場:東京国立博物館・平成館 特別展示室(東京都台東区上野公園13-9)
開催期間:2024年10月16日(水)~12月8日(日)
【東京都千代田区】東京国立近代美術館:ハニワと土偶の近代
「東京国立近代美術館」では、2024年10月1日(火)から12月22日(日)まで、「ハニワと土偶の近代」が開催されています。
考古学の研究対象として価値があるだけでなく、アート界にも多大な影響をもたらしてきた“ハニワと土偶”。
本展では、明治時代から現代にかけて“ハニワや土器、土偶に向けられた視点”を深堀りし、美術を中心とした幅広い作品を紹介しています。
埴輪や土偶に関する作品がずらり
第2次世界大戦後、岡本太郎やイサム・ノグチに代表される芸術家たちが“ハニワと土偶”にインスピレーションを得て、さまざまな絵画・陶芸・彫刻作品を生み出しました。
1970~80年代には漫画や特撮などの分野でキャラクター化して活躍し、広く大衆に浸透していきます。
展示室には、“ハニワ”制作の場面を描いた日本画や、ピカソに代表されるキュビズム(※)と結びつけて描かれた作品、縄文時代や“ハニワと土偶”が登場する漫画など、興味深く楽しめる展示がいっぱい。
ぜひ親子で観賞してみてくださいね。
※20世紀初頭のパリで誕生した芸術運動
■イベント概要
名称:ハニワと土偶の近代
会場:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開催期間:2024年10月1日(火)~12月22日(日)
【神奈川県厚木市】あつぎ郷土博物館「ドグウ集まれ!」
縄文時代の遺跡が数多く点在する神奈川県厚木市。しかし、土偶が出土するのはかなりのレアケースです。
そこで「あつぎ郷土博物館」では、市内では珍しい土偶を県内外から集めた展覧会「ドグウ集まれ!」を2024年10月12日(土)より開催しています。
12月8日(日)で終了してしまうので、来館はお早めに!
まだまだ謎が多い土偶をじっくり観賞し、縄文時代の文化や暮らしに思いをはせてみませんか?
■イベント概要
名称:ドグウ集まれ!
会場:あつぎ郷土博物館(神奈川県厚木市下川入1366-4)
開催期間:2024年10月12日(土)~12月8日(日)
【千葉県市原市】市原歴史博物館:特別展「旅するはにわ-房総の埴輪にみる地域間交流-」
千葉県市原市の「市原歴史博物館」では、2024年10月12日(土)~12月15日(日)の期間、特別展「旅するはにわ-房総の埴輪にみる地域間交流-」を開催しています。
同館のメイン展示資料である「山倉1号墳出土埴輪」の発掘調査報告書刊行から、20年の節目となることから企画されました。
埼玉から"旅する"ように市原へたどりついた埴輪
「山倉1号墳出土埴輪」は埼玉県の生出塚(おいねづか)埴輪窯で作られ、千葉県の市原まで“旅する”ようにやってきたことがわかっています。
本展では、この“旅するはにわ”のほか、国の重要文化財に指定されたばかりの「姫塚古墳出土人物埴輪」もお披露目。話題の埴輪が一堂に介する貴重な展覧会です。
フォトスポット&スタンプラリーも!
夏のイベントで作られた埴輪のアクリルスタンド「ハニスタ」が並ぶフォトスポットが登場。前方後円墳を模した舞台に並ぶ、チャーミングなハニスタたちと記念撮影を楽しみましょう。
素敵な埴輪グッズがもらえるスタンプラリーや特別イベントも実施していますので、ぜひ参加してみてください。
■イベント概要
名称:特別展「旅するはにわ-房総の埴輪にみる地域間交流-」
会場:市原歴史博物館(千葉県市原市能満1489)
開催期間:2024年10月12日(土)~12月15日(日)
【群馬県高崎市】群馬県立歴史博物館:古墳時代ぐんまの国宝埴輪と東博埴輪
「群馬県立歴史博物館」では、2024年10月22日(火)~2025年5月25日(日)の期間、「古墳時代ぐんまの国宝埴輪と東博埴輪」を開催しています。
「東京国立博物館」に所蔵されている群馬県ゆかりの埴輪3体も“里帰り”中。「綿貫観音山古墳」から出土した国宝の埴輪17体と共演しています。
埴輪造形の豊かさや、古墳時代東国の輝きを実感できること間違いなしの展覧会です。
最先端のデジタル技術を用いた展示やワークショップも!
「デジタル埴輪展示室」では、最先端のデジタル技術を導入した展示が人気。“日本一美しい”と称される「塚廻り古墳群の埴輪」の実物展示とともに、“埴輪王国ぐんま”を発信中!
また、土日祝日には展示内容や季節にあわせた工作ワークショップも行われているので、ぜひ参加してみてくださいね(1日6回・各回先着20名。観覧券が必要)。
■イベント概要
名称:古墳時代ぐんまの国宝埴輪と東博埴輪
会場:群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内)
開催期間:2024年10月22日(火)~2025年5月25日(日)※2025年2月中旬~3月末日は休館予定
【静岡県浜松市】浜松市地域遺産センター:浜名湖 北岸の古墳時代
歴史遺産の調査や保存・活用を行う「浜松市地域遺産センター」では、2024年10月16日(水)~2025年5月11日(日)の期間、「浜名湖北岸の古墳時代」と題した展示を開催中。
浜松市の「浜名湖」北岸は、古墳や集落・祭祀遺跡といった古墳時代の遺跡が数多く分布しているエリアです。
同展には、そんな「浜名湖北岸の古墳時代」を象徴する出土品が勢揃い。優れた造形の埴輪をはじめ、古墳に副葬品として納められていた銅鏡、海外から渡ってきた鉄斧や馬具などを見ることができます。
さまざまな角度から細かく観察してみよう
展示のうち馬や猪、鹿、人などの約20点が、ケースに入れずに展示されているのがポイント。後ろ側に回ってみたり、しゃがんだりして、さまざまな角度から観察できます。
さまざまな埴輪を通じ、浜名湖の北岸で躍動した古墳時代の人々に思いをめぐらせてみてはいかがでしょうか。
■イベント概要
名称:浜名湖 北岸の古墳時代
会場:浜松市地域遺産センター(静岡県浜松市浜名区引佐町井伊谷616-5)
開催期間:2024年10月16日(水)~2025年5月11日(日)
【山梨県笛吹市】釈迦堂遺跡博物館:やまなし土偶探訪
山梨県笛吹市の「釈迦堂遺跡博物館」では、山梨県内の各地域から出土した“ちょっと地味めな”土偶たちをクローズアップした「やまなし土偶探訪」を開催しています。
開催期間は2024年9月18日(水)から12月23日(月)まで。
山梨県は、書籍に載っているような土偶たちとはちょっと違う姿・形をした土偶がたくさん出土している地域。本展では、そんな土偶たちの表情や造形をじっくりと観察できるのが醍醐味です。
いくら眺めても見飽きることなく、縄文人たちが大切にした土偶の個性と出会える企画展です。
■イベント概要
名称:やまなし土偶探訪
会場:釈迦堂遺跡博物館 企画展示室(山梨県笛吹市一宮町千米寺764)
開催期間:2024年9月18日(水)~12月23日(月)
【三重県松阪市】松阪市文化財センター:特別展「王権と首長墓の埴輪」
4世紀後半から5世紀は、近畿エリアを拠点としていたヤマト政権が勢力を東西へ拡大した時代。その影響を受けた古墳が首長墓(※)として各地に残されています。
松阪市文化財センターの「はにわ館」では、2024年12月8日(日)まで特別展「王権と首長墓の埴輪」を開催。ヤマト王権の勢力下にあった奈良・大阪の古墳から出土した埴輪と、各地の首長墓にあった埴輪を展示しています。
ヤマト王権の勢力が各地に広がっていったことや、首長墓の埴輪の特徴もわかり、古墳時代への興味がふくらみますよ。
※地域に点在する古墳のなかでも、前方後円墳や大規模な古墳を首長の墓=「首長墓」と呼んでいます
■イベント概要
名称:王権と首長墓の埴輪
会場:松阪市文化財センター はにわ館(三重県松阪市外五曲町1)
開催期間:2024年10月26日(土)~12月8日(日)
【福岡県太宰府市】九州国立博物館:特別展「はにわ」
「国立科学博物館」で開催中の特別展「はにわ」が、2025年1月21日(火)から5月11日(日)まで九州エリアに上陸!
開館20周年を迎える「九州国立博物館」に全国から約120点の至宝が集まり、国宝「埴輪 挂甲の武人」も兄弟とともに5体揃って登場します。
2024年10月26日(土)から2025年1月20日(月)の期間限定で、お得な前売り券や1月~2月来場限定チケット、“はにわグッズ”がセットになった「グッズセット券」を販売中。
グッズセット券は数量限定ですので、お早めにゲットしてくださいね。
そのほかの埴輪&土偶展、関連イベント
2024~2025年には、ほかにも全国のさまざまな地域で埴輪・土偶展や関連イベントが開催されます。
●加古川総合文化センター博物館(兵庫県加古川市)
行者塚古墳の埴輪と土製品:2024年7月27日(土)~2025年2月23日(日)
●八戸市埋蔵文化センター 是川縄文館(青森県八戸市)
合掌土偶ができたころ:2024年10月5日(土)~11月24日(日)
●今野書店(東京都杉並区西荻北3-1-8)
はにわを語りつくすトークイベント:2024年11月20日(水)
埴輪や土偶、それらに影響された作品を実際に目にすることで、教科書で見るのとは異なる魅力や、古代人と自分との共通点などを体感できるはず。埴輪や土偶たちと一緒に、楽しい時間を過ごしてください♪
記事を書いた人
雨宮あかり
「いこーよとりっぷ」エディター/食べること・飲むこと・音楽が大好きなママ編集者。世界中の音楽フェスを体験すること&ベルギービールの醸造所めぐりが夢です♪ 特技はアロマセラピートリートメントです。
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