2025「水仙三大群生地」の名所7選
スイセンの白い絨毯は新春から見頃
今回は、お正月飾りとしても愛される水仙(すいせん)の“日本三大水仙群生地”にある名所をご紹介します。
水仙のなかでも、ニホンスイセンなどの品種は例年12月頃から開花し、1月から見頃を迎えます。寒さに負けず凛と咲き誇る姿や可憐な花、甘く高貴な香りはまさに日本が誇る名花。
見頃の時期には「水仙まつり」も開催され、絨毯のように咲き広がる絶景は一見の価値ありです。ぜひ親子でおでかけしてみてください。
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。また水仙の見頃は気候により変動するため、最新情報は公式サイトや公式SNSをご確認ください
水仙ってどんな花?
水仙は地中海沿岸を原産地とするヒガンバナ科スイセン属の多年草です。室町時代よりも前に中国を経由して渡来したとされ、日本でも古くから親しまれてきました。
中国から日本へ運ばれた理由としては「球根が海を渡って漂着した」、「遣唐使が薬草として持ち込んだ」、「観賞用として運ばれた」などさまざまな説があります。
球根葉の間から高さ20~40cmの茎を伸ばし、1本の茎に2~8個の花を横向きに咲かせます。さわやかな香りも特徴のひとつ。
また水仙という名前は、スイセン属の総称として使われる場合と、ニホンスイセンという一品種を指すことも多いようです。
水仙には毒があるってホント?
葉が少しニラと似ている水仙ですが、球根や花、茎、葉などすべての部分にアルカロイド系の毒が含まれているので、食べるのは危険です。
また、ふれると皮膚炎を起こすこともあるので、素手でさわらないようにしましょう。
水仙が開花する季節はいつ?
水仙の代表的な品種・ニホンスイセンは、秋に植えた球根が例年12月上旬から咲き始め、1月に見頃を迎えます。
雪の中でも開花するほど丈夫なので、北陸エリアでは「雪中花」(せっちゅうか)とも呼ばれています。
ほかにも人気品種がたくさんあり、多くの水仙は2月~4月が見頃。見頃が異なる複数の品種を栽培しているスポットでは、冬から春にかけて長く楽しめるのが魅力です。
水仙の栽培方法
水仙は自宅で栽培できるので、親子で育ててみるのもおすすめ。
水はけがよく、適度な保水性のある土を好み、通気性のよい砂質土に植えると元気な根がたくさん出てきます。鉢植えの場合は腐葉土やピートモスなどを約30%配合した、やわらかく根が張りやすい土が適しています。
ニホンズイセンは早咲きなので、9月から10月上旬には球根を植えつけるようにしましょう。球根に土がかかる深さまで土をほり、大きい球根なら約20cm間隔、小さめの球根であっても10~15cmは間をあけて植えるのがポイント。
花が終わった茎は付け根から切り取ります。すべての花が終わってからも水やりを続け、液体肥料で球根に栄養を与えましょう。
夏になり、葉が枯れてきたら葉ごと掘り上げ、風通しのよい場所で管理して翌年の植え付けに備えます。地植えの場合は3~4年植えっぱなしでもOKです。
「日本三大水仙群生地」は千葉県の鋸南町、兵庫県淡路島、新潟県の越前海岸
地中海沿岸が原産とされるニホンスイセンは、冬も比較的温暖で水はけが良い海岸を好みます。
暖流が流れる海辺の傾斜地で自生、または栽培されていることが多く、本州の関東地方、北陸、四国、九州などで美しく群生する景色を見ることができます。
なかでも、“日本三大水仙群生地”と称されるのが、千葉県鋸南町、兵庫県・淡路島の「灘黒岩水仙郷」、福井県の越前海岸です。
静岡県下田市の爪木崎を「三大群生地」に数えることも
上記の兵庫県淡路島、福井県の越前海岸に、静岡県下田市の爪木崎を加えて“日本三大水仙群生地”とすることもあります。また、この3カ所をまとめて“日本三大水仙自生地”と呼ぶことも。
いずれも、満開の時期にはエリア合計で数百万~数千万本の水仙が咲く名所ばかり。ここからは各スポットの概要と見どころをご紹介していきます!
【福井県越前町・福井市・南越前町】越前海岸
福井県の越前加賀海岸国定公園に位置する越前海岸。なかでも越前岬周辺は、「越前水仙」のブランド名を持つニホンスイセンの名産地です。
水仙の栽培面積は日本最大級で、越前町、福井市、南越前町をあわせて60ヘクタールにおよびます。
毎年12月中旬から1月中旬の見頃にあわせて「福井県越前海岸 水仙まつり」も行われます。同時期に旬を迎える越前ガニをフューチャーした「水仙・カニフェア」ほか、さまざまなイベントが催され、親子のおでかけにおすすめです。
イベント情報:福井県越前海岸 水仙まつり(2024年12月14日~1月20日)
【荒波フェスタ】
開催場所:河野シーサイドパーク(福井県南越前町河野1-89)
開催期間:2024年12月14日(土)~15日(日)
内容:濃厚カニ汁・特産品販売/越前水仙プレゼント(各回先着150人)/越前ガニが当たる大抽選会/キッズタイムBIGお菓子すくい大会
【水仙・カニフェア】
開催場所:道の駅「越前」駐車場(福井県越前町厨71‐335‐1)
開催期間:2025年1月11日(土)~12日(日)
内容:越前水仙プレゼント(各回先着150人)/海鮮グルメ&炭火焼コーナー/水仙娘のかすり姿で記念撮影/ワークショップなど
【こしの水仙まつり】
開催場所:越前水仙の里公園(福井県福井市居倉町43‐25)
開催期間:2025年1月18日(土)~19日(日)
内容:越前水仙プレゼント(各回先着150人)/スピードクジ/クラフト体験ほか
越前岬水仙ランド
日本海を望む白亜の灯台を背景に広がる越前岬水仙郷。その中にある「越前岬水仙ランド」は、約1,500万本もの水仙が咲き誇る絶景スポットです。
敷地面積は約6ヘクタールにおよび、水仙の開花時期は例年11月から翌年3月。冬の日本海を背景に咲く越前水仙は、凛とした美しさで訪れる人々を魅了します。
園内の「水仙の館」はギリシャ神話風の外観が特徴で、「水仙鑑賞庭園」では特殊栽培による一年中咲く水仙を楽しむことができます。越前海岸を200度見渡せる喫茶コーナーも人気。
日本海の景色と香り高い水仙が織りなす、癒しのひとときを堪能できるスポットです。
■スポット概要
所在地:福井県丹生郡越前町血ヶ平27-1-2
水仙の見頃:例年11月~3月
入園料:無料
アクセス:車:北陸自動車道・鯖江ICから約50分、または敦賀ICから約60分
電車:「福井駅」から「越前水仙ランド入口」行きバスに乗車(約70分)、「水仙ランド入口」バス停で下車後、徒歩で約17分
駐車場:あり
越前水仙の里公園
「越前水仙の里公園」は、海に面した雄大な景色とともに、常時500本〜2,000本の水仙を楽しめる公園です。
敷地内にある「水仙ドーム」では、福井市の越廼(こしの)地区が発祥地といわれる越前水仙が栽培展示されており、一年を通して水仙の花や香りを堪能できます。
水仙の歴史や育て方などを学ぶこともできますよ。
■スポット概要
所在地:福井県福井市居倉町43-25
水仙の見頃:例年12月下旬から開花、1月上旬〜2月が見頃
入園料:高校生以上310円、中学生以下無料
アクセス:車:北陸自動車道・福井ICから約1時間
電車:「福井駅」から「越前水仙ランド入口」行きバスに乗車、「越前水仙の里」バス停下車すぐ
駐車場:あり(80台)
梨子ヶ平千枚田水仙園
越前海岸に面した越前町の高台・梨子ヶ平(なしがだいら)地区は、かつて源平合戦にて戦いに敗れた平家の落人が隠れ住んだという7つのエリアのひとつ。
全世帯が水仙栽培農家で、周囲の傾斜地にはいたるところに水仙畑が広がっています。水仙畑は全国的にも珍しい千枚田のため「梨子ヶ平千枚田水仙園」と呼ばれ、“日本の棚田100選”にも選ばれています。
千枚田から北へ少し進んだところにある水仙の群生地は、日本海と呼鳥門を見渡せる絶景スポット。例年12月~1月の見頃になると、水仙が白い絨毯のように咲き広がります。
■スポット概要
所在地:福井県越前町梨子ヶ平
水仙の見頃:例年12月下旬から開花、1月上旬〜2月が見頃
入園料:特になし
アクセス:車:北陸自動車道・鯖江ICから約1時間
電車:「福井駅」から「越前水仙ランド入口」行きバスに乗車、「越前水仙の里」バス停下車すぐ
駐車場:なし ※集落内の滝本美術館(城のような建物)下のスペースを利用可(地域住民に迷惑がかからないようご配慮ください)
千葉県鋸南町
千葉県鋸南町は、江戸時代から続く水仙の名産地。安政年間(1854~60年)には船で江戸に出荷され、武家屋敷や町家などに高貴な「元名(もとな)の花」として売られ、好評を得ました。
保田エリアの「江月の水仙ロード」や、大崩エリアの「佐久間ダム湖親水公園」と「をくずれ水仙郷」で一面の花畑を見ることができ、見頃の時期には「鋸南の水仙まつり」も開催されます。
イベント情報:鋸南の水仙まつり
開催場所:江月水仙ロード、をくづれ水仙郷~佐久間ダム公園
開催期間:2024年12月7日(土)~2025年2月2日(日)
内容:
水仙ライトアップ(17:00~20:00)/写真コンクール/ぐるっと水仙QRスタンプラリー(道の駅保田小学校、道の駅きょなん、保田駅前観光案内所などで台紙を配布。QRスタンプを集めると抽選で鋸南町の特産品をプレゼント)
江月水仙ロード
江月地区の水仙ロードは、まちを代表する水仙スポットのひとつ。約3kmに渡って道の両側に水仙が咲き乱れる、片道30分~40分ほどのハイキングコースです。
水仙の見頃は例年12月中旬から1月下旬にかけて。のんびり歩きながら、背丈が高く香り豊かな鋸南町の水仙を堪能してくださいね!
■スポット概要
所在地:千葉県安房郡鋸南町
水仙の見頃:例年12月中旬~1月下旬
アクセス:電車:JR内房線「保田駅」から徒歩で約15分
駐車場:なし ※鋸南町保健福祉総合センター「すこやか」の駐車場(鋸南町保田560)から徒歩で約5分
をくづれ水仙郷~佐久間ダム湖親水公園
千葉県鋸南町大崩地区にある「佐久間ダム湖」の周辺は「佐久間ダム湖親水公園」として整備されており、桜と水仙の名所として有名です。
例年12月上旬には湖畔のいたるところで水仙が咲き始め、1月には最盛期に。冬に咲く凛とした水仙を目当てに、たくさんの観光客が訪れます。
また、佐久間ダム北側の山間部は「をくづれ水仙郷」と呼ばれ、山の斜面を利用して約6,000万球(推定)もの水仙が栽培されています。
「をくづれ水仙郷」の有料駐車場や「大崩」バス停で降車すると、湖へ続く道沿いにもたくさんの水仙があるので、散策しながら可憐な花と甘い香りを楽しむのがおすすめ。
施設スタッフによると「2024年は例年より開花が遅れています。見頃の時期が全体的にずれると、2025年2月には梅や頼朝桜(河津桜)との共演が見られるかもしれません」とのこと。
開花状況をチェックして、おでかけしてみてくださいね!
■スポット概要
所在地:①千葉県安房郡鋸南町大崩39、大崩1399-3
水仙の見頃:例年12月上旬~1月下旬
アクセス:車:富津館山道・鋸南保田ICから約7.3km、鋸南富山ICから約5.4km
電車:①佐久間ダム湖親水公園:JR内房線「安房勝山」駅からバスに乗車(約35分)、「佐久間ダム入口」バス停で下車 ②をくずれ水仙郷:JR内房線「保田駅」から町営循環バスで約25分
駐車場:あり
【静岡県下田市】爪木崎
「爪木崎」は静岡県・伊豆半島のさらに先にある、須崎半島の最東端。一年を通して温暖な気候に恵まれ、野生の水仙が群生している場所として有名です。
約300万本の水仙が自生していて、南あわじ市の「灘黒岩水仙郷」、福井県の「越前海岸」と並ぶ“日本三大水仙群生地(自生地)”に数えられることもあります。
水仙のピークにあわせて、毎年「下田市爪木崎 水仙まつり」を開催。広大な群生地なので、訪れる時期によって満開の場所や遅咲きのエリアがあり、何度訪れても見応えがありますよ。
イベント情報:下田市爪木崎 水仙まつり(2024年12月20日~2025年1月31日)
開催場所:爪木崎
開催期間:2024年12月20日(金)~2025年1月31日(金)
内容:金目鯛の握り寿司や郷土料理「池之段煮味噌鍋」などの地元グルメの提供(数量限定・先着順)/下田太鼓の実演/ジオガイドツアー(有料)など、
■スポット概要
所在地:静岡県下田市須崎
水仙の見頃:例年12月中旬~1月下旬(ピークは12月下旬~1月中旬)
入園料:無料
アクセス:車:東名高速道路・沼津ICから約110分、新東名高速道路・長泉沼津ICから約2時間
電車:伊豆急「下田駅」からバス、またはタクシーで約15分
駐車場:あり
【兵庫県南あわじ市】灘黒岩水仙郷
「灘黒岩水仙郷」は、兵庫県・淡路島の南あわじ市にある水仙の群生地。一面に水仙の花が咲き誇る全国有数の名所です。
例年12月下旬から2月下旬まで開園し、レストランやショップを併設した施設がオープンします。
白いスイセンと甘い香り、海に浮かぶ沼島に感動
「灘黒岩水仙郷」の水仙は、1820年代(江戸時代)に海岸に漂着した球根を、地元に住む漁民が植えたことがきっかけと伝わっています。
現在は、45度の急斜面に広がる約7ヘクタールの土地に約500万本もの野生の水仙が咲き誇り、毎年多くの人たちに感動を与えています。
特に1月から2月の最盛期は、まるで白いじゅうたんのよう。満開の花畑を歩けば、優しく甘い香りも堪能できます。
階段や坂を歩きながら観賞するので、歩きやすい服や靴でおでかけしましょう。
先人が守ってきた観光地を守る一歩として2023年にリニューアル!
「灘黒岩水仙郷」は、水仙の自生地をもとに先人たちが整備し、地域住民が守り続けてきた貴重な観光地です。しかし、施設の老朽化や観光客の減少、水仙の管理問題により存続が危ぶまれています。
鹿の食害対策の防柵ネット設置や除草作業など、年長者たちが次世代のために再生準備を進めており、その努力を次世代が受け継ぎつつあります。
世代を超えた知恵と努力のリレーにより存続活動が進められ、2020年からは大規模な増改築工事に着手。2023年12月にリニューアルオープンしました。
新しくなった施設3階の展望台に上ると、目の前には太平洋が広がり、“神の島”と呼ばれる沼島が一望できます。この美しい自然を守る人たちがいることを忘れずに、観光を楽しみたいものです。
■スポット概要
所在地:兵庫県南あわじ市灘黒岩2
水仙の見頃:例年12月下旬~2月中旬(ピークは1月中旬~2月初旬)
入園料:高校生以上600円、小・中学生300円
アクセス:車:神戸淡路鳴門自動車道・西淡三原IC、淡路島南ICから約40分
バス:福良からシャトルバスで約40分
駐車場:あり(無料、80台)
香りと景色が心に残る水仙の群生地を訪れて、親子の素敵な思い出を作ってくださいね。
記事を書いた人
雨宮あかり
「いこーよとりっぷ」エディター/食べること・飲むこと・音楽が大好きなママ編集者。世界中の音楽フェスを体験すること&ベルギービールの醸造所めぐりが夢です♪ 特技はアロマセラピートリートメントです。
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