2024冬の使者・白鳥の飛来地7選
関東の名所を厳選!観察の注意点も
冬になると大陸から海を越えて日本へ飛来する白鳥(ハクチョウ)。関東地方にも、ハクチョウが飛来する湖や沼などがたくさんあります。
そこで今回は、関東にあるハクチョウ飛来地のなかから、安全に観察できる環境が整っているスポットをピックアップ。事前に知っておきたいハクチョウの基礎知識や観察時の持ち物、注意点もあわせて紹介します。
この冬は、ぜひ親子で白鳥を観察しにでかけてみてくださいね。
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください
ハクチョウの基礎知識:なぜ飛来するの?日本に飛来する種類や時期は?
ハクチョウ観察をより楽しめるよう、まずは特徴や生態を知っておきましょう! 鳥類の研究を行う「宮城県伊豆沼・内沼 サンクチュアリセンター」の研究室長・嶋田さんに、ハクチョウについて詳しく教えてもらいました。
ハクチョウとは?
真っ白な体と長い首が特徴のハクチョウは、カモ科に属する鳥、あるいはカモ科の仲間です。
童話「みにくいアヒルの子」でも知られているように、成鳥は白く美しい羽を持ち、幼鳥は灰色に近いくすんだ色をしています。
群れをなして湖や沼、広い川などで暮らし、ときには何百羽という大群になることもあります。
ハクチョウはどこから飛来してくるの?
日本にやってくるハクチョウの多くは、冬になると繁殖地である極東ロシアから飛来してきます。そのため、“冬の使者”と呼ばれることも。
極東ロシアでは、寒い時期になると植物や昆虫といったハクチョウのエサが雪や氷に覆われてしまいます。ハクチョウたちは食べ物を求め、オホーツク海を越えて日本へやってくるのです。
ハクチョウが日本に到着するのはいつ頃?
ハクチョウが極東ロシアを出発するのは例年9月頃。10月上旬には日本に到着します。その後、2月〜4月頃まで日本で過ごし、再び元の場所へと旅立っていきます。
なぜ毎年、同じ場所にやってくるの?
ハクチョウが越冬するためには、安心して休める寝ぐらと十分な食物があることが重要です。それらの条件がそろっている場所に飛来してくるので、毎年だいたい同じ土地へ戻ってきます。
また、ハクチョウが家族単位で行動していることも理由のひとつ。親と一緒に渡ってきた経路を子供が覚えているため、毎年決まった場所に飛んで来るのです。
日本に飛来するハクチョウの種類は?
日本に飛来するハクチョウは、ほとんどが「オオハクチョウ」と「コハクチョウ」です。いずれも東北エリアなどでよく見られ、コハクチョウは西日本まで渡ることがあります。
どちらも全身が白く、よく似た外見をしていますが、鳴き声に少し違いがあります。どちらも「コホー」とよく響く声で鳴きますが、コハクチョウ方が少し低めの声です。
また、クチバシでも見分けることができます。クチバシの先が黒く、付け根が黄色いのは同じですが、じっくり見てみると違いが分かりますよ。
オオハクチョウの場合は、黒い部分と接する黄色い部分の先端が尖った形をしています。また、くちばし全体の約半分以上を黄色い部分が占めているのも特徴です。
一方、コハクチョウのクチバシは、黄色い部分がくちばし全体の半分以下。黒い部分と接する黄色い部分の先端は、丸みを帯びています。
鳴き声もクチバシも小さな違いなので、ぜひじっくりと観察してみてください。両方が飛来するスポットで比べるとわかりやすいですよ。
ハクチョウ観察のルールや注意点
続いて、ハクチョウを実際に見にいくときのポイントを確認しておきましょう。注意点や観察のルールを守り、親子で楽しい時間を過ごしてください。
ハクチョウ観察の時間帯や場所、服装は?
ハクチョウの飛来地では、日中に、沼や池などの周囲で観察できます。見にいくなら、晴れた日の昼間が最適です。
寒い時期なので防寒対策は万全に。重ね着をしたり、カイロを持参したりするとよいでしょう。
また、ハクチョウは水辺にいることが多いので、歩きやすい靴や汚れてもかまわない服装でおでかけを。
筆記用具を持っていき、座りながら親子でスケッチを楽しむのもおすすめです。
ハクチョウ観察のNG行動とは
ハクチョウを見つけたときに駆け寄ったり、大きな声を上げたりしてはいけません。刺激を与えないよう、静かにゆっくりと動くようにしましょう。
また、ハクチョウが首を上げるのは、警戒している証拠。鳥は人の視線に敏感なので、警戒させないよう離れた位置から観察しましょう。双眼鏡や望遠鏡を持っていくのがおすすめです。
写真を撮るときは、ハクチョウにストレスがかからないよう、フラッシュをたかずになるべく遠くから撮影をしましょう。
そして、許可されている場所以外の餌付けは厳禁です。観察の際は、ハクチョウをはじめとしたすべての鳥が暮らす環境を壊さないように、飛来地ごとに決められているルールを守ることがもっとも大切です。
それではここから、編集部おすすめの飛来スポットを紹介していきます。
八丁堰(夏目の堰)【千葉県香取郡東庄町】
葉県香取郡東庄町の「八丁堰」(通称:夏目の堰)は、「東庄県民の森」に隣接する池。毎年11月から2月下旬にかけて、1,200〜1,500羽ものオオハクチョウやコハクチョウが飛来する名所です。
もっとも多くのハクチョウを見られるベストシーズンは、例年12月〜2月中旬にかけて。同じ時期には、1万羽のカモをはじめ、約10種類の野鳥も集まってきます。
なお、エサやりは禁止されています。
隣接する「東庄県民の森」には水鳥観察舎が整備されており、バードウオッチングが楽しめます。広い敷地内には芝生広場や湿地植物園やBBQ場なども併設され、豊かな自然のなかでのんびり過ごせるスポットです。
なお、八丁堰には駐車場がないので、車でのアクセスする場合は、「東庄県民の森」の駐車場を利用しましょう。
八丁堰(夏目の堰)
場所:千葉県香取郡東庄町
アクセス:車:東関東自動車道・大栄ICから約40分
電車:JR成田線「笹川駅」からタクシーで約15分
施設の設備情報
●トイレ:あり(東庄県民の森)
●売店:なし
●休憩スペース:あり
●駐車場:あり(東庄県民の森)
群馬県立多々良沼公園【群馬県館林市・邑楽町】
「群馬県立多々良沼公園」は、群馬県邑楽町と館林市にまたがる多々良沼と、そのほとりに広がる自然公園です。
沼の北側にある「ガバ沼エリア」や「夕陽の小径」周辺には、毎年11月中旬になると、たくさんのコハクチョウやオオハクチョウが飛来します。
特に多くのハクチョウが集まるのは1月下旬から2月上旬にかけて。例年3月上旬まで観察できます。
ハクチョウが飛来するシーズンには、ヒドリガモやマガモ、カルガモなども見ることができますよ。なお、ハクチョウや野鳥へのエサやりは禁止されているのでご注意ください。
沼の西側には、ブランコや滑り台などの遊具で遊べる「いこいと花のエリア」があります。
また、東側にはボランティアによって自然環境保全活動が行われている「自然ふれあいエリア」も。ハクチョウ観察とあわせて、自然観察も楽しんでくださいね。
群馬県立多々良沼公園
場所:群馬県邑楽郡邑楽町大字中野5582
アクセス:車:東北自動車道・館林ICから約20分
電車:東武伊勢崎線「多々良駅」から徒歩で約23分
園内の設備情報
●トイレ: あり
●売店: なし
●休憩スペース:あり
●駐車場: あり
羽田沼野鳥公園【群馬県大田原市】
大田原市羽田地区の丘陵地に作られた灌漑用のため池・羽田(はんだ)沼を中心に広がる「羽田沼野鳥公園」。周囲は雑木林と水田に囲まれています。
例年10月末頃にコハクチョウ、オオハクチョウが毎年100羽ほど飛来するほか、カモもたくさん集まり、翌3月末頃までゆっくりとひと冬を過ごします。
池が小さいため、比較的間近で野鳥を観察できるのが特徴です。
羽田沼のハクチョウたちは、夜明けとともに餌場へと飛び立ち、日暮れ前に戻ってきます。そのため、訪れる時間帯は16時以降の夕方が狙い目。
ただし、近くの田んぼに移動したまま戻ってこない日もあるのは留意しておきたい点です。
市内の琵琶池では日中に数羽のハクチョウが見られるので、立ち寄ってから「羽田沼野鳥公園」に移動するのもおすすめです。
天神山公園・菅生沼【茨城県坂東市】
茨城県坂東市にある自然公園「天神山公園」内の「菅生沼」(別名:上沼)は、ハクチョウのエサになるマコモなどの水生植物が豊富にあり、たくさんのハクチョウが越冬できる貴重なスポット。
例年10月末〜3月初旬にかけて、300羽以上のオオハクチョウとコハクチョウが飛来し冬を越します。ハクチョウと一緒に、カモやガン、サギなどの野鳥も観察できます。
ハクチョウをはじめとした野鳥へのエサやりは禁止されていますが、タイミングが合えば、管理人による餌付けが見られることもありますよ。
ハクチョウを観察できるのは昼間だけ。朝と夜はすみかに帰ってしまいますので、日中におでかけしましょう。
ハクチョウ以外にも沼に住む魚類や岸辺に集まる昆虫などを見ることができる菅生沼は、自然観察にぴったりです。観察するときは、設置されている柵を越えないように注意してくださいね。
なお、菅生沼は茨城県坂東市と同県常総市の境界に位置しており、南北に約5km伸びる細長い沼。北側は上沼、南側は下沼と呼ばれています。
下沼の近くには農業体験型テーマパーク「水海道あすなろの里」や、「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」など親子におすすめの観光スポットもあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
天神山公園(菅生沼)
場所:茨城県坂東市神田山511
アクセス:車:関東鉄道常総線「水海道駅」から約20分
園内の設備情報
●トイレ:あり
●売店:なし
●休憩スペース:なし
●駐車場:あり
大塚池公園【茨城県水戸市】
茨城県水戸市の国道50号線沿いにある「大塚池公園」は、大塚池とその周辺からなる公園です。美しい景色でも有名で、“茨城観光百選”のひとつに選ばれています。
毎年10月中旬頃からたくさんのオオハクチョウとコハクチョウが飛来し、例年3月下旬まで観察できます。
ハクチョウと同じ時期に、体が黒くハクチョウに似たコクチョウや、かわいいカモの姿も見ることができますよ。なお、エサやりは園内全域で禁止されています。
池の周りは一周2.5kmの遊歩道になっているので、のんびり散策するのもおすすめです。
園内には広場もあり、滑り台や複合遊具が設置されています。
また、池では釣りも楽しめます。水鳥保護のため、通年釣りを禁止している区域と、水鳥が増える10月15日〜翌年3月末の期間に禁止になる区域があるので、釣りをする場合はしっかりとエリアを確認しましょう。
大塚池公園
場所:茨城県水戸市大塚町1832
アクセス:車:常磐自動車道・水戸ICから約5分
電車:JR常磐線「赤塚駅」北口バスターミナル2番「大塚経由バス」乗車、「大塚池の端」バス停で下車すぐ
園内の設備情報
●トイレ:あり
●売店:なし
●休憩スペース:なし
●駐車場:あり
一の関ため池親水公園【茨城県那珂市】
茨城県那珂市の中心部にある「一の関ため池親水公園」は、“那珂八景”のひとつに選ばれている景観地。
1984年からハクチョウが飛来するようになったといわれ、毎年11月上旬から3月中旬にかけて、オオハクチョウやコハクチョウを観察できます。
特に1月〜2月上旬になると、毎日50羽前後のハクチョウがため池に集まり、ため池に設置されたデッキの上から見ることができます。
ほかにも、マガモやカルガモ、オシドリなどの姿も観察できますよ。
日本庭園風の園内の一角には、茅葺(かやぶき)屋根の「曲がり屋」があり、内部の見学も可能。
毎年2月頃に開催される「那珂のひなまつり」をはじめ、さまざまな催しも行われています。
園内には休憩スポットやベンチがあり、親子でのんびり過ごせます。広々とした芝生広場もあるので、天気のいい日はお弁当を持参してピクニックもおすすめです。
一の関ため池親水公園
場所:茨城県那珂市菅谷4529-1
アクセス:車:常磐自動車道・那珂ICから約5分
電車:JR水郡線「上菅谷駅」から徒歩10分
園内の設備情報
●トイレ:あり
●売店:なし
●休憩スペース:あり
●駐車場:あり
白鳥の里【茨城県潮来市】
「白鳥の里」は、茨城県潮来市の北浦湖岸にあるスポットです。
6羽のハクチョウが、この地に初めて飛来したのは1981年のことでした。今では、毎年11月下旬から3月上旬にかけてオオハクチョウやコハクチョウ、コブハクチョウが集まり、多い年は100羽以上が飛来することもあります。
ハクチョウ以外に、カモやユリカモメなどの水鳥も観察できます。
観察におすすめの時間帯は、早朝と夕方です。
多くのハクチョウ飛来地と違い、「白鳥の里」には柵がないので、鳥たちの姿をより間近で楽しめます。ストレスを与えないように観賞マナーを守って観察しましょう。
小さな子供連れの場合や、バードウオッチングやスケッチなどをゆっくり楽しみたい親子は、湖畔沿いにある広場を利用しましょう。
今回紹介したスポットのほかにも、関東にはたくさんのハクチョウ飛来地があります。シーズン限定の美しいハクチョウの姿を親子で観察し、楽しい思い出を作ってください。
※本記事は姉妹サイト「いこーよニュース」掲載の記事を再編し、掲載しています。イベント情報や施設情報など内容の一部は2024年の最新情報に差し替えを行っています
記事を書いた人
いこーよとりっぷ編集部
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