
【2025-2026】秋冬の風物詩「えびす講」とは?全国の行事11選!二十日戎と十日戎/関東と関西の違いも
「えびす講」とは、“福の神”として知られる「えびす様」に感謝し、五穀豊穣や商売繁昌を祈る行事のこと。
えびす様を祀る神社では福笹(ふくざさ)や熊手などの縁起物が授与され、福男を選ぶ神事も毎年話題に。また地域の商店街などが主催するイベントでは大売り出しや抽選会などが実施され、とてもにぎわいます。
今回は、そんな「えびす講」の由来や、全国でも有名な祭事、各地の個性あふれるイベントをご紹介! 親子で楽しめる行事ばかりなので、ぜひおでかけしてみてください。
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください
えびす講とは?

「えびす講」は、商売繁盛や豊作、大漁を祈願してえびす神を祀り、感謝をささげる意味を持っています。古くから全国各地で親しまれ、地域によって“えびす祭”“えべっさん”などの別名で呼ばれることもある行事です。
「えびす講」は大きく2つのタイプに分けられ、神社が中心となって行う伝統的なお祭りと、商店街や商工会が主催する「商業祭」あるいは「産業祭」的な催しがあります。
開催日は地域によってさまざまですが、主に10月20日、または1カ月遅れの11月20日、そして1月20日(二十日えびす)。また、1月10日前後に行われる「十日えびす」も、「えびす講」のひとつとして広く親しまれています。
えびす様とは?

えびす様は、七福神の中で唯一、日本古来の神様です。古くは漁業の神様、市場の神様として信仰されていましたが、室町時代頃から七福神の一柱(ひとはしら)として祀られるようになった福の神です。
鯛を抱え、釣竿を持った福々しい姿が特徴で、商売繁盛や五穀豊穣のご利益があるとされ、庶民に広く愛されています。
えびす講の由来

「えびす講」の「講」とは、同じ信仰を持つ人々の集まりを意味します。もともとは、商人たちが同業者ごとに集まってえびす様を祀り、商売繁盛を願った行事が始まりとされています。
また、旧暦10月(神無月:新暦の10月下旬から12月上旬)は、全国の神様が「出雲大社」に集まって留守になりますが、えびす様は地域に残って家を守る「留守神様」と考えられていました。
そのため、留守を守ってくださるえびす様に感謝を捧げるお祭りとして、この時期に根付いたともいわれています。
自宅で食べ物をお供えする風習も
家庭でもえびす様を祀る風習が残る地域もあり、同じく「えびす講」と呼ばれることも。
その年の収穫に感謝して、お赤飯や尾頭付きの魚(地元で獲れたもの)、野菜などをお供えするのが一般的。お供えするものは地域によって異なりますが、神様への感謝を家族で分かち合う、大切な行事とされています。
例えば東京都の小平市では、1月20日にえびす様と大黒様を飾り、お金を入れた升、けんちん汁やお赤飯、尾頭付きの生魚などをお供えして、商売繁盛や五穀豊穣お祈りしたそうですよ。
「十日えびす」と「二十日えびす」とは?関東と関西の違いについて

「えびす講」は、えびす様が稼ぎにでかける日(1月10日あるいは20日)と、帰ってくる日(11月20日)を祝う行事です。
江戸時代、商業の中心地として栄えた阪神エリアでは、えびす様を祀る兵庫県西宮市の「西宮神社」や大阪市浪速区の「今宮戎神社」が、商売繁盛の神として信仰を集めました。各社の「えびす講」が正月の市と結びつき、1月10日の「十日えびす」として盛大になったといわれています。
一方、関東では農業が中心だったこともあり、収穫が終わる秋の「えびす講」が重視されました。そのため、現在も10月20日や11月20日を「二十日えびす」として祭りを行う神社が多く残っています。
“日本三大えびす”の「えびす講」
ここからは、“日本三大えびす”と呼ばれる兵庫県「西宮神社」、大阪府「今宮戎神社」、京都府「京都ゑびす神社」のえびす講(十日えびす)を紹介します。
【兵庫県西宮市】西宮神社 十日えびす

兵庫県西宮市の「西宮神社」は、全国に約3,500社あるえびす神社の総本社。2026年も1月9日(金)から11日(日)まで「十日えびす」が開催されます。
境内では福笹などの縁起物が授与され、商売繁盛を祈願する人々で毎年にぎわいます。
10日(土)の早朝には、お正月の風物詩「開門神事福男選び」が行われ、約5,000人の男性が本殿まで230mを駆け抜けます。上位3名は「福男」となり、福を授かるとされています。
新年の幸せを祈りに、親子で見学もしくは参加してみてはいかがでしょうか。
【大阪府大阪市】今宮戎神社 十日戎

大阪市浪速区の「今宮戎神社」では、2026年1月9日(金)から11日(日)まで「十日戎(えびす)」が開催されます。
“えべっさん”の愛称で親しまれる人気の祭りで、毎年1月9日の「宵戎」、10日の「本戎」、11日の「残り戎」の3日間、境内は「商売繁昌で笹もってこい」の威勢の良いお囃子に包まれます。
見どころは、福娘から授与される縁起物の「福笹」。青々とした笹に、大判や鯛など色とりどりの吉兆を結んでもらい、一年の福を祈願します。また、メインの日である10日の「本戎」では、芸妓や著名人が駕籠に乗って練り歩く華やかな「宝恵駕(ほえかご)行列」も必見です。
家族みんなで福笹を手に入れ、新年の幸せを祈願しましょう♪
【京都府京都市】恵美須神社 十日ゑびす大祭/二十日ゑびす大祭

京都府京都市の「恵美須神社」では、毎年1月8日~12日に「十日ゑびす大祭」(初ゑびす)、10月19日と20日に「二十日ゑびす大祭」が開催されています。
「ゑびす大神」が海にお帰りになる時期に執り行われるのが「十日ゑびす大祭」。名物は、商売繁盛を願う縁起物の「吉兆笹」です。例年、日時限定で舞妓さんからの福笹授与も行われ、東映の女優さんによる華やかな「宝恵かご」行列が京のまちを巡行するなど、京都ならではの雅やかな雰囲気を味わえるお祭りです。

一方「二十日ゑびす大祭」は、「ゑびす大神」が海からいらっしゃる旧暦の9月20日(現在の10月20日)に執り行われる重要な祭典です。
「福笹」や「大宝」(おおたから)、「宝船」などの縁起物、宮司がデザインした次年度の干支絵馬などが授与されます。
全国の個性豊かな「えびす講」
全国各地では、“日本三大えびす”の「二十日えびす」以外にも、さまざまな「えびす講」が行われています。大規模で有名な行事から、地域性あふれる楽しいイベントまで、親子におすすめのものを厳選してご紹介!
【長野県長野市】長野えびす講煙火大会

長野県長野市の「えびす講」は、長野市岩石町にある「西宮神社」の御祭礼で、毎年11月18日から20日に商売繁盛・五穀豊穣・開運招福を祈願し、にぎやかに行われます。かつては商店で大売出しが行われ、地域の人々が冬支度の買い物に訪れるのが慣例でした。
「長野えびす講煙火大会」は、西宮神社の「えびす講」にあわせて1899年(明治32年)に始まった、全国でも珍しい晩秋の花火大会です。
2025年は11月23日(日・祝)に開催される予定。凛と澄んだ秋の夜空に、尺玉の大輪や豪華なミュージックスターマインが打ち上がります。花火評論家も絶賛するほどの美しさは必見ですよ。
同日、「長野駅東口公園」ではステージショーやフードブースが楽しめる「YOIMIYA」も開催され、イベント会場からも花火を鑑賞できます。
【山梨県甲府市】甲府えびす講祭り

山梨県甲府市の「小江戸甲府花小路」や「こうふ亀屋座」では、2025年11月23日(日・祝)に「第91回甲府えびす講祭り」が開催されます。
甲府商工会議所が「日頃のご愛顧への感謝を込めて」と企画した活気あふれるお祭り。JR「甲府駅」からすぐの中心街で行われ、アクセス抜群なのも魅力です。
当日は、えびす様を乗せた山車が練り歩き、お囃子や幼稚園児のマーチングバンドが祭りを盛り上げます。ほかにも、山車の出発・到着時に行われる「福餅まき」や、人気ゲーム機が当たるビンゴ大会、縁日の出店など、親子で楽しめる企画が盛りだくさん!
商売繁盛の神様・えびす様に感謝を込めて、ぜひ親子で訪れてみてくださいね。
【群馬県桐生市】桐生西宮神社 えびす講

「桐生西宮神社」は、関東で唯一、えびす神社の総本社である兵庫県西宮市の「西宮神社」から正式に御分霊をお迎えした分社です。
毎年11月19日・20日に開催される「えびす講」は、商売繁盛を願う多くの人でにぎわう初冬の風物詩。
「えびす講」の縁起物というと熊手が有名ですが、同社では鯛や大福帳を萩の枝に飾る「お宝」が定番です。境内には露店も並び、縁起物の福袋がまかれる「福まき」や、早朝の境内を駆け抜ける「福男選び神事」も必見です。福男だけでなく、「福女」の認定もありますよ。
【群馬県高崎市】高崎えびす講市

群馬県高崎市の冬の風物詩「第97回高崎えびす講市」は、昭和初期の不況の中、商売繁盛と景気回復を願って始まった高崎の伝統行事。2025年も、中心市街地と「美保大國(たかさきみほおおくに)神社」境内を会場に、11月15日(土)・16日(日)に開催されます。
参加商店街での大売出しや、豪華景品が当たる「えびす札くじ」抽選会でにぎわい、“商いのまち高崎”の活気を体感できる祭りです。

期間中に「美保大國神社」で限定販売されるペアの張り子「めをとえびす」は必見! 輪投げや射的が楽しめる「子ども広場」もあり、親子で一日満喫できます。
【埼玉県熊谷市】熊谷えびす大商業祭

「熊谷えびす大商業祭」は、中山道の宿場町として栄えた“商業のまち”熊谷市で、商売繁盛を祈って行われるお祭り。
年中・年長さんが鮮やかな衣装で練り歩く「お稚児行列」のほか、「こども縁日」など、親子で楽しめるイベントが満載です。

名物は、星川通りを舞台に行われる「ラバーダックレース」! 約150羽のアヒルのおもちゃが70mの川を流れる様子を見ながら子供も大人も夢中になって応援し、とても盛り上がります。
※2025年は11月1日(土)に開催されました
【東京都台東区】浅草廿日戎
東京都台東区の「浅草神社」では、2026年1月19日(月)と20日(火)に、「浅草廿日戎」(あさくさはつかえびす)が開催されます。
期間中は、福娘による福笹の頒布が行われ、えびす様の「御神影札」も授与できます。
商売繁昌・福徳円満の象徴である福笹は、小1,000円・大2,000円、鯛や小判などの縁起物をかたどった吉兆は500円~(目安)です。好みの吉兆を選び、自分だけの福笹を完成させましょう♪
「浅草廿日戎」限定の特別御朱印も人気です。新しい年の幸せを願い、ぜひ家族みんなでお参りに行ってみてください。
【東京都中央区】日本橋べったら市

東京・日本橋で江戸時代から続く、商売繁盛の「えびす講」として有名なのが「日本橋べったら市」です。「寶田恵比寿神社」を中心に、大伝馬町や本町界隈で盛大に開催されます。
祭りの主役は、麹で甘く漬けた名物の「べったら漬け」。これを売る露店をはじめ、七味や飴細工など、約500店もの露店が通りを埋め尽くし、大いににぎわいます。
夜になると神社の大提灯や1,500以上の提灯が灯り、幻想的な夜祭りの雰囲気を味わえますよ。 御神輿や「べったら音頭」が祭りを盛り上げ、親子で江戸の活気を感じながら屋台グルメも楽しめるイベントです。
※2025年は10月19日(日)~20日(月)に開催されました
【広島県広島市】胡子神社 胡子大祭
広島県広島市中区にある「胡子神社」の「胡子大祭」は毎年11月18日、19日、20日の3日間に執り行われる秋季大祭です。2025年の開催情報は現在取材中ですので、お楽しみに!
商売繁昌や五穀豊穣を願う「えびす講」に親子でおでかけして、2026年の福を祈願してませんか?
記事を書いた人
雨宮あかり
「いこーよとりっぷ」エディター/食べること・飲むこと・音楽が大好きなママ編集者。世界中の音楽フェスを体験すること&ベルギービールの醸造所めぐりが夢です♪ 特技はアロマセラピートリートメントです。
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