食べ歩き天国「谷中銀座」を満喫!
親子でカフェランチ&天然かき氷も
東京都の台東区谷中・荒川区西日暮里にまたがる「谷中銀座商店街」は、昭和の面影を残した、下町情緒あふれる商店街。
江戸時代から続く寺町として発展してきたこのエリアには、代々続くせんべい店や飴屋のほか、行列ができるかき氷屋、名物店長がいる料理店など個性豊かなお店が並び、食べ歩きのまちとして知られています。
そこで今回は、6歳の息子と一緒に谷中銀座商店街に出発!
親子で楽しく味わえる、食べ歩きグルメを実食レポートします。(いこーよとりっぷライター・岡本ハナ)
※本記事中の商品情報および価格等は取材時のものです。最新情報は公式サイト等をご確認いただくか店舗にお問い合わせください
「谷中銀座商店街」とは?
「谷中銀座商店街」(以下、谷中銀座)は、JR各線・京成線・都営線「日暮里駅」と、東京メトロ「千駄木駅」の間に位置し、いずれの駅からも徒歩約5分とアクセス抜群。
谷中という地名が付いていますが、厳密には台東区谷中と荒川区西日暮里のちょうど境目にある通りです。全長170mほどの短い距離に、昔ながらの個人商店のほか、約50軒もの店が立ち並びます。
「谷中」は寺町と下町の風情をあわせ持つまち
江戸時代、上野桜木に徳川家の菩提寺「寛永寺(かんえいじ)」ができて以降、その北隣にある谷中周辺にも数多くの寺院が作られました。最盛期には100近く、今も約60の寺院が連なる寺町です。
江戸中期~後期には参詣客が訪れる江戸時代の行楽の場となり、商店や工芸職人が暮らし生業を営む下町として発展しました。
1945年頃に「谷中銀座」が誕生
その後、第2次世界大戦が終わった1945年(昭和20年)頃、商店街が自然発生的に生まれました。当時から商いを続ける店も残っており、そのレトロなまち並みを歩けばタイムスリップしたかのよう!
大人にとっては童心に帰る「懐かしい場所」、子供の目には「新鮮な場所」として映るはずです。
猫のまちとしても有名で、本物の猫はもちろん、猫のオブジェや雑貨もたくさん! 子供と一緒に「どっちが猫を多く見つけられるかな?」と猫探しをしても楽しいですよ。
JR「日暮里駅」と「谷中銀座」の間にも、気になるグルメが点在!
「日暮里駅」の北改札口を出たら西口へ。ここから谷中銀座までは徒歩約5分です。
左手には徳川慶喜や渋沢栄一が眠る「谷中霊園」、右手には江戸時代から月見の名所として愛される「本行寺(ほんぎょうじ)」があり、寺町らしい景色が広がります。
ゆるやかな坂を上る途中には、古き良き時代の風情を残した甘味処や佃煮屋、手焼きせんべいのお店などが点在。
谷中銀座はまだ少し先ですが、さっそく食べ歩きをスタートしましょう!
地元民に愛される「花家」で極上あんみつを食べる!
「日暮里駅」から歩いて1分。「本行寺」の門前を過ぎると数軒先にあるのが、モダンでおしゃれな甘味処「花家」です。
洗練された佇まいながら、創業は1945年(昭和20年)と歴史の深いこちらのお店。
当時は引き売りの生花店「花屋」でしたが、第2次世界大戦の戦火で家が焼かれ、初代店主が一念発起。屋号を「花家」に変更し、甘味処として生まれ変わりました。
オーダーしたのは一番人気の「クリームあんみつ」。あんこ、黒蜜、寒天などは全て自家製という手間をかけた贅沢な一品です。
親子でシェアをするつもりで1つだけ注文したところ…さすがの人気メニュー、子供のハートをわしづかみ! 息子は黙々と食べ進め、分けてもらう余地はありませんでした。
おいしすぎるため、1人1品ずつの注文がおすすめですよ。
■花家
所在地:東京都荒川区西日暮里3-2-2
定休日:毎週火曜
営業時間:11:00~20:30
醤油のいい香り!「谷中せんべい」で、せんべい焼きを見学
「花家」を出て先に進むと、すぐ左手に見えてくるのが渋い暖簾(のれん)を掲げる「谷中せんべい」です。
1913年(大正2年)創業の老舗店で、今もなお伝統的な作り方で1枚ずつ丁寧にせんべいを焼いています。
ガラス張りの陳列棚にギッシリ並べられたせんべいを目にして、「みてみて!すごいよ!」と駆け寄る息子。
店の奥では、毎日10時頃からせんべい焼きをしており、タイミングがあえば、窯(かま)の真横にある引き戸の外側から見学が可能です(必ずスタッフに声をかけてくださいね)。
私たち親子も見学をさせて頂きましたが…身近でみる臨場感と窯の熱気に圧倒されっぱなしでした。
せんべいが元々お米からできていることを教わったり、せんべい生地を見せてもらったりしてますます好奇心が刺激された息子。「熱くないの?」「いいにおいがするね」と話が止まりませんでした。
地元住民に愛され、観光客にも人気の店なので、子供とおでかけするなら開店間もない時間帯がおすすめですよ。
※高柳さんの「高」の正しい表記はハシゴダカです
■谷中せんべい
所在地:東京都台東区谷中7-18-18
定休日:毎週火曜
営業時間:10:00~17:30
「夕焼けだんだん」を下り、いざ谷中銀座へ!
「谷中せんべい」からさらに進むと、道が二又に分かれる場所に出ます。
右の道を進んだ先に現れる階段が、数々のアニメやドラマにも登場してきた「夕焼けだんだん」。階段を降りれば、そこはもう谷中銀座の入り口です。
子供と一緒に「せーの!」で商店街入り!
ネットでも有名!?名物店長アリさんがいる「ザクロレストラン」
「夕焼けだんだん」を降りてすぐ右側にある「ザクロレストラン」は、イラン、トルコ、ウズベキスタン料理のお店です。
本場の中東料理が味わえるほか、トルコ雑貨や食品の買い物、ベリーダンスを楽しむことができます。そして、なんといっても商店街イチの名物店長・アリさんがいることで有名!
アリさんは、ネットで「からみがウザ楽しい」と話題ですが、そのユーモア溢れるサービス精神は店に入るとすぐに分かります。
息子に「イケメンくん、なに食べる~?」と気さくに話しかけたり、食後に民族衣装を着させてくれたりと、とにかく面白い! 親子はもちろん、家族や友人と来ても楽しめますよ。
■ザクロレストラン
所在地:東京都荒川区日暮里3-13-2スタジオ谷中1F
定休日:毎週水曜
営業時間:ランチ11:00~15:00 ディナー15:00~23:00
大正時代から続く「後藤の飴」のニッキ飴をお土産に
谷中銀座のゲートをくぐるとすぐ右側のお店が、1922年(大正11年)創業の「後藤の飴」。2022年で創業100年を迎え、現在は三代目店主の伊藤郁夫(いとういくお)さんが切り盛りしています。
「商店街にある『肉のすずき』さんと鮮魚店の『冨じ家(ふじや)』さんも、うちと同じくらいの歴史を持つお店です。今の谷中銀座は食べ歩きの人気店が多く、観光客がたくさんいらっしゃっているけれど、ひと昔前はもっと生活に密接した店舗が多くて、お客様も地元住民ばかりでした」(三代目店主・伊藤郁男さん)
老舗だけに、今となってはレアな昔懐かしいハッカ飴やあんず飴などがずらりと並びます。
ほかにも、後藤の飴でしか購入できない辛口のニッキ飴、テレビ番組で話題になったバナナ飴など気になる飴がいっぱい!
豊富な種類の飴とにらめっこしながら、お姉ちゃんと妹にお土産を選んでいた息子に「子供に人気なのはバナナ飴やサイダー飴、酸っぱいものが好きだったら梅干し飴もいいと思うよ」と優しく話しかけてくれた伊藤さん。
それを聞いて、息子は梅干し飴とバナナ飴を購入しました。
「商店街の良さのひとつは、大人たちがみんなで子供を見守っている点。地域全体で子育てをしている感じです」と話す伊藤さん。子供へのあたたかな話し方が印象的でした。
■後藤の飴
所在地:東京都荒川区西日暮里3-15-1
定休日:毎週水曜
営業時間:10:30~19:00
にゃんてカワイイ!ねこのしっぽの形をした焼きドーナツ
商店街の真ん中付近には、スティック型の焼きドーナツ店「やなか しっぽや」があります。見た目が猫のしっぽにそっくりで、息子も「かわいい!」とひと目惚れ。
見た目だけでなく名前も個性的。
プレーン味は「シロ」(100円)、つぶつぶの栗あんが入った「まりりん」(130円)、クリームチーズ入りでゴマが表面にあしらわれた「チー坊」(160円)と、まるで猫の名前みたい。
小さな手でも持ちやすいスティック型なので、歩きながら食べやすいのもポイントです。
■しっぽや
所在地:東京都台東区谷中3-11-12
定休日:不定休
営業時間:10:00~18:00(土日祝は19:00まで)
揚げたてサクサク!肉屋&総菜屋の「谷中メンチ」は必食!
商店街の中央より、少し東京メトロ千代田線「千駄木駅」寄りにある「肉のサトー」には、揚げ物が店頭に並ぶ12時過ぎから続々とお客さんが訪れます。
私たちのお目当ては、谷中銀座名物の「谷中メンチ」!
ひと口食べると、衣の中からお肉の旨味がじゅわ~っ。220円とリーズナブルですが、国産牛と最上級A5ランクの和牛を使用した贅沢な一品です。
遠赤外線フライヤーを使用しているので、持ち帰って電子レンジで温めても揚げたてのようにサクサクと食べることができるそうですよ。オリジナルのたれをからめた「焼き豚」もおすすめです。
■肉のサトー
所在地:東京都台東区谷中3-13-2
定休日:毎週月曜
営業時間:10:30~19:30 ※揚げ物の販売は12:00~
子供も絶賛!和栗専門店のこだわり素材を生かしたソフトクリーム
「肉のサトー」の正面にある、和栗専門のスイーツ店「和栗や」。人気店ぞろいの谷中銀座ですが、なかでも行列必至なのがこちらのお店。
開店直後の11時頃と14~16時頃までは待ち時間が長めですが、その時間帯を避ければ、平日は15分程度で入店できることもあります。
材料の栗は、「栗の郷」として有名な茨城県笠間市にある自社農園のほか、近隣で収穫されたものを厳選。特に自社農園では、モンブランや栗菓子に適した品種を、オーナー自身が栽培し加工処理まで仕上げています。
ほかの食材も、生産者の顔が見え、安心して口に入れられるものを選んでいます。
お店の代名詞であるモンブランは、定番の 「モンブランデセル」や「モンブランパフェ」のほか、季節のフルーツを乗せた期間限定品などバリエーション豊富に揃います。
和栗本来の風味を味わえるよう絞りたてにこだわり、イートインのみで提供しています。
今回は息子の要望で、テイクアウト限定品の「厳選和栗と搾りたて生乳の無添加ソフト(コーン)」をオーダー。
栗密と栗薫(栗と砂糖だけで作られた栗菓子)付きタイプ(800円)もおいしそうでしたが、食べ歩きにぴったりのコーンタイプ(600円)をチョイスしました。
ひと口食べた瞬間「くりだ! なつかしい感じがする」と息子。うれしそうな表情でペロリと完食しました。
■和栗や
所在地:東京都台東区谷中3-9-14
定休日:毎週月曜
営業時間:11:00~18:00(店内飲食のラストオーダーは17:00)
100点満点の笑顔がこぼれる「谷中満天ドーナツ」
さらに「千駄木駅」方面に進み、よみせ通りのほど近くにある「谷中満天ドーナツ」は、全てお店で手作りしている焼きドーナツ屋さん。
プレーン、ココア、メープルなど8種類をメインに、季節限定の味も展開。夏は塩レモン味、冬は柚子味とオリジナリティあふれるドーナツが楽しめます。
どれもおいしそうで、息子は悩んだ末にチョコチップをオーダー。「いつものドーナツとちょっと違うけど、これおいしいね。ぜんぶ食べられる!」と、油で揚げたドーナツとの違いにも気づいたようです。
2階にはイートインスペースがあり、コーヒーやバナナジュースなどカフェメニューも充実しているので、ショートブレイクもできますよ。
■谷中満天ドーナツ
所在地:東京都台東区谷中3-8-12
定休日:毎週火曜
営業時間:11:00~19:00
路地に入った場所にも名店が!
にぎやかな谷中銀座を1本入った路地裏には、知る人ぞ知る隠れた名店も…!
ふらりと入った路地で素敵なお店と出会う楽しみもありますが、行列必至や予約必須の店もあるので、事前に確認をするのがおすすめですよ。
並んでも食べたい!屋台から始まった老舗かき氷店「ひみつ堂」
「後藤の飴」を背に商店街から1本脇に入った場所に、人気かき氷店「ひみつ堂」があります。
取材で訪れたのは、まだ薄寒い3月上旬でしたが、開店して間もない時刻にはすでに数人が順番待ちをしていました。
オーダーしたのは「ひみつの猫いちみ白ねこ」(1,400円)。いちごを乗せて猫耳にし、ポッキーで猫ひげ、レーズンで目と鼻をつけた、かわいい猫のかき氷です♡
人気の秘密はかき氷のクオリティー。最高峰の氷と呼ばれる「三ツ星氷室」の日光天然氷を、昔ながらの手動式機械で一杯ずつ丁寧に削り、ふわふわの氷に仕上げています。
さらに、自家製の果実蜜にもこだわりが! いちご蜜には静岡県と秋田県の農家から仕入れた完熟いちごのみを使用。砂糖だけを加え、素材がもつ甘みを最大限に引き出しています。
口の中で雪のように溶ける氷と、ミルキーな練乳、甘酸っぱいいちご蜜が折り重なり、とろける美味しさでした。
暑い季節や、休日は混雑が予想されるので、時間に余裕をもって来店を。繁忙期は整理券が発行されますが、最長6時間待ち(!)になることもあるため、子連れなら涼しい時季が狙い目です。
■ひみつ堂
所在地:東京都台東区谷中3-11-18
定休日:毎週月曜
営業時間:10:00頃~18:00頃
※時期や曜日により閉店時間が異なる/夏、繁忙期は8:00~
※最新情報は公式ツイッターで確認してください
隠れ家カフェ「TAYORI(たより)」で生産者とつながる体験を
にぎやかな商店街から1本路地に入ったところに、ひっそりと佇むおしゃれなカフェ「TAYORI(たより)」。全国の生産者から毎日届く新鮮な食材で作られたお弁当や惣菜が絶品! やさしい味わいで、子供にも安心して食べさせられます。
店に入ってすぐ左には、生産者たちとコミュニケーションができる文通コーナーも。食への興味がかきたてられ、苦手な野菜が食べられるようになるかもしれませんね。
■TAYORI
所在地:東京都台東区谷中3-12-4
定休日:毎週月・火曜
営業時間:水~土曜12:00~21:00(日曜・祝18:00まで)
季節の楽しいイベントも!
谷中銀座では、親子で参加できる季節のイベントも開催しています。日本の文化や季節感を、つきたてのお餅やかき氷とともに感じられますよ。
餅つき&福引でお正月気分を満喫♪「七福神巡り&商店街巡り」
谷中銀座の年初めは、新春イベント「谷中七福神巡り&商店街巡り」から始まります。
東京最古の七福神巡りとされる「谷中七福神」巡りの時期にあわせ、毎年1月1日から7日頃まで開催されるこのイベントは、迫力ある餅つき大会が目玉!
つきたてのお餅は、あんこやきなこ、からみ餅など、様々な味付けで食べられます。子供が好きなお汁粉もありますよ。
豪華景品がもらえる「新春大福引大会」で運試しをするのも楽しいですね。
■七福神巡り&商店街巡り
開催期間:毎年1月
会場:谷中銀座商店街(東京都台東区谷中3-13-1/谷中銀座商店街振興組合)
開催時間:例年9:00~17:00 ※年によって異なります。
かき氷がひゃっこい!下町の夏祭り「ひゃっこい祭り」
谷中銀座の夏の風物詩「ひゃっこい祭り」。迫力ある氷柱の展示、どじょうすくい、水風船釣りなど、商店街のオリジナリティあふれる企画が多数開催され、大人も子供も五感で涼を満喫できます。
同イベントで食べ歩きグルメといえば“氷の器に盛りつけられたかき氷”!。数量限定なので、お買い求めの際はお早めに。大人には“氷のビアジョッキで飲む生ビール”もおすすめです。
■ひゃっこい祭り
開催期間:例年8月初旬
会場:谷中銀座商店街(東京都台東区谷中3-13-1/谷中銀座商店街振興組合)
開催時間:例年9:00~17:00 ※年によって異なります
温もりあふれる「谷中銀座商店街」は親子散歩にぴったり!
谷中銀座は小さな商店街なので、子供と食べ歩きを楽しむのにぴったり。おいしいグルメを堪能できたのはもちろん、子供にとってはレトロなまち並みも新鮮だったよう!
商店街の人たちとのあたたかいコミュニケーションも存分に楽しむことができ、思い出深い1日となりました。
記事を書いた人
岡本ハナ
1983年フィリピン生まれ。4児(2男2女)の母。 大学在学中に読者モデルとして活動するかたわら、web制作会社でライターアシスタントとして勤務。現在は、映画や音楽などエンタメ情報、子供関連(不妊治療、発達障がい児など)をテーマに各メディアで執筆。料理下手だが、料理人の夫に感化されて料理&食育を勉強中! 多国籍料理が好き。
- ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。