東京下町あじさい名所&お祭り8選
雨の日におすすめ!見頃&穴場も
東京の下町にある、親子でおでかけしたいあじさいの名所をご紹介します。
子供とのおでかけ先に悩みがちな梅雨。外出するのも億劫になりがちなこの時期におすすめなのが、色とりどりのあじさいが咲き誇るスポットです。
例年、見頃となる6月には、各スポットであじさい祭りやイベントも数多く開催されます。
お祭り気分が盛り上がる屋台や、江戸の伝統文化体験、水辺の立地を生かしたあじさいクルーズなど、下町情緒あふれるコンテンツが目白押し!
雨に濡れたあじさいはより鮮やかで美しく、見る人の心を明るくしてくれます。
梅雨の晴れ間だけでなく、少々の雨なら長靴をはいて、元気よくお散歩してみませんか?
※内容は一部変更または中止になる可能性があります。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認ください
万葉集にも登場する日本原産の花「あじさい」
あじさいは日本原産の花で、奈良時代の和歌集「万葉集」にも登場しています。
江戸時代に医師として長崎にやってきたシーボルトは、日本の植物であるあじさいをこよなく愛し、著書である「日本植物誌」のなかで紹介しました。
日本で出会ったオタキさんという女性の名から「Hydrangea otaksa(ハイドランジア オタクサ)」という学名を付けたというロマンティックなエピソードも残っています。
18世紀に中国からヨーロッパに伝えられた日本のあじさいは、品種改良され逆輸入されるように。現在では、世界中で約2,000種ものあじさいが花屋の店頭を飾っています。
日本で生まれ海外に広がったあじさいは、いわば“日本の誇り”といえる花なのです。
※参考文献:
大澤啓志・新井恵璃子.“我が国におけるアジサイの植栽に対する嗜好の時代変遷”.日本緑化工学会.2016.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/42/2/42_337/_pdf,(参照2021-05-30)
文京区HP.“白山神社.”https://www.city.bunkyo.lg.jp/bosai/midori/kuritukouen/kouen/hakusan.html,(参照2021-05-30)
あじさいは花びらではなく「ガク」を鑑賞する花!
あじさいの花に見える部分は「装飾花」と呼ばれる部分で、多くの人が花びらだと思っているのはガクが発達したもの。小さなツボミのような部分が本当のお花(真花・両性花)です。
よーく見ると、小さいながらつぼみと開花したものとが判別できるので、子供と一緒に観察してみてくださいね。
あじさいの種類は大きく分けて3タイプ
あじさいには、大きく分けて「ガクアジサイ」「ホンアジサイ」「セイヨウアジサイ」の3つのタイプがあります。
ガクアジサイ
あじさいというと、真っ先に手毬状の花を想像する人も多いと思います。
しかし、日本に自生し、さまざまなあじさいの原種となったのはガクアジサイ。中央に小さな両性花が多数あり、その周りを額縁のように装飾花が取り囲む形状をしています。
ホンアジサイ
ガクアジサイを原種とする栽培種。こんもりとした手毬型をした、あじさいの代表選手です。狭い意味ではこのホンアジサイを“あじさい”と呼ぶことも。
セイヨウアジサイ
日本のあじさいがヨーロッパで品種改良され、逆輸入されたものです。現在、園芸店に並んでいるあじさいの多くがこのタイプ。
英語では「hydrangea」といい、日本でもそのまま「ハイドランジア」と呼ばれることも。
そのほか、半日陰の林や渓谷沿いなどに生育するヤマアジサイという系統もあります。
花言葉は「移り気」「七変化」。なぜ色が変化するの?
あじさいの花の色は、土壌の酸性度(ph度)によって変化します。土がアルカリ性ならピンク色、酸性であれば青紫~青色に。
また、気温や日照、水分量などの影響を受けながら、時間の経過とともに色がガラリと変化する品種もあるんですよ。
「移り気」「七変化」という花言葉は、そんなあじさいの性質をよく表しているといえそうですね。
それでは、ここから下町のあじさいスポット&イベントをご紹介します!
由緒ある「寺社」であじさいを楽しむ
日本には境内にあじさいの花を多く植えている寺院(通称あじさい寺)や神社がたくさんあります。
有名なところでは、神奈川県鎌倉市の「明月院」をはじめ、千葉県大多喜町の「妙法生寺」、東京都日野市の「高幡不動尊」、兵庫県相生市の「若狭野天満神社」など。
魔除け・厄除けの花ともいわれるあじさいの花。由緒ある境内で眺めれば、なんだか運気もアップしそうですね。
白山神社・白山公園「文京あじさいまつり」(文京区/2024年6月8日〜16日)
東京十社のひとつ、文京区白山にある「白山神社」と、その隣の「白山公園」は都内屈指のあじさいの名所。
毎年6月中旬~下旬にかけて、約3,000株のあじさいが咲き誇ります。
境内では参道や手水舎など、さまざまな場所で満開のあじさいを堪能できます。セイヨウアジサイ、スミダノハナビ、ウズアジサイなど品種も約20種と豊富。
2024年6月8日(土)~16日(日)には、「第40回文京あじさいまつり」が開催されます。
期間中の土・日曜には模擬店が出店され、「あじさいコンサート」など親子で楽しめるイベントもいろいろ。期間中、何度でも足を運びたくなるお祭りです。
長國寺「いきいきあじさい祭」(台東区/2024年6月15日〜16日)
浅草酉の市発祥の寺といわれ“おとりさま”の愛称で有名な、台東区千束の「長國寺」では、2024年6月15日(土)・16日(日)に「第21回 いきいきあじさい祭」を開催します。
「あじさい図鑑」のコーナーには、全国各地からあじさいが集合。花の種類は毎年変わりますが、例年約100種のあじさいが見られます。ほかで見たことがない変わり種も多く、眺めているだけで親子の会話がはずみます。
また、浅草名物の“竹の吊りかご入りあじさい”は、ここでしか購入できません。
江戸時代からの伝統的な健康法「ほうろく灸」が体験できる「ほうろく灸祈祷会」(祈祷料1人2,000円)への参加もおすすめです。
本堂に座り、経文が入った素焼きの平たい土鍋(ほうろく)とお札を頭に乗せ、百会(ひゃくえ)のツボを温めること約20分。
じんわりと頭に伝わる熱が気持ちよく、心身ともにリフレッシュできますよ。
そのほか、射的やヨーヨー釣り、たこ焼き、わたあめなどの出店もずらり。
お土産には紫、水色、赤と3色揃った、かわいい「あじさい守」がおすすめです。
※「あじさい図鑑」の品種や出店の内容は毎年異なります
遊びもいろいろ♪あじさいが咲く「公園&庭園」
あじさい以外にも、遊びや学び、見どころが盛りだくさんの公園&庭園をご紹介。
江戸の町民に愛された桜の名所や、かつて和歌にも詠まれた大名庭園など、その歴史も興味深いスポットばかりです。
上野恩賜公園・不忍池(台東区)
「上野動物園」や「国立科学博物館」など、親子向けの文化施設がたくさん揃う「上野恩賜公園」。
その西南部に広がる不忍池は、江戸時代から浮世絵に描かれた蓮の名所ですが、じつはあじさいも楽しめるスポットなんです。
例年6月中旬~7月上旬には、開花を待つ力強い蓮の葉を背景に、満開のあじさいが色を添えます。
西側にあるボート池のほとりは、とくにたくさんのあじさいが咲き揃うエリア。
せっかくなので、金運アップのパワースポット「不忍池辨天堂(べんてんどう)」にもぜひお参りしましょう♪
土・日曜は参道にたくさんの屋台が並び、とても賑やかな雰囲気です。
公園内には雨宿りできるカフェや、少し立ち寄るのに便利な「国際子ども図書館」も。梅雨の時期でも1日楽しく過ごせますよ。
隅田公園(台東区)
東京メトロ銀座線、東武伊勢崎線「浅草駅」から徒歩で約3分、都営地下鉄浅草線「浅草駅」から徒歩で約5分、「隅田公園」の通称「あじさいロード」では、例年6月初旬から次々とあじさいが開花します。
スカイツリーがよく見えるフォトスポットとしても人気。あじさいと一緒に撮影するなら、浅草駅と言問橋の中間付近にある「山の宿の渡しの跡」がおすすめです。
「隅田公園」は、徳川吉宗が打ち上げた「両国川開きの花火」を起源とする、隅田川花火大会の会場でもあります。
園内には、打ち上げ花火に似たガクアジサイ・スミダノハナビも。江戸の夜空に思いを馳せながら、じっくり鑑賞してみてはいかがでしょう。
遊具やアスレチック、テラス付きのカフェもあり、天候によって臨機応変に過ごせますよ。
六義園(文京区)
JR山手線、東京メトロ南北線「駒込駅」から徒歩約7分の「六義園」は、1702年(元禄15年)に、川越藩主・柳澤吉保が造った「回遊式築山泉水」の庭園。
園の中央に池(大泉水)、そのまわりの園路に木々や四季の花、川を渡る橋、標高35mの築山があり、花を愛でたり、虫を探したりと、親子でちょっとしたハイキング気分が味わえます。
入園料は300円で、小学生以下と都内在住・在学の中学生は無料です。とても広い庭園なので、入口でマップ付きのリーフレットを入手しましょう。
休憩所兼売店の左側を入ったあじさいエリアのほか、シンボルツリーである高さ15mのしだれ桜前の広場、「滝見茶屋」の周辺などにも植えられています。
園内で楽しめるあじさいは約15種1,000株。日本古来のヤマアジサイや、江戸時代から知られる古品種が中心です。
その佇まいは可憐で奥ゆかしく、つい時を忘れて見入ってしまいますよ。
また、2024年6月23日(日)まで、「初夏の六義園~さつきと和のあじさいを楽しむ~」を開催しています。期間中は、「さつき・あじさい解説パネル展示」や、庭園ガイドボランティアの案内で、園内散策を楽しめます。
歩き疲れたら「吹上茶屋」へ。池を眺めつつ、抹茶と和菓子で一服しましょう。
あじさいエリアの近くにある休憩所兼売店には、夏季限定のクリームソーダや冷やし甘酒、あんみつなど懐かしのメニューがいろいろ。昔のおもちゃなどのお土産も揃っています。
「六義園」から歩いて約20分(桜や紅葉の季節、GW、4月~5月中旬の土日のみ開門する『染井門』からは徒歩15分ほど)の場所には、バラの名所「旧古河庭園」があります。
5~6月はバラのシーズンでもあるので、あわせて花めぐりを楽しんでみては。
飛鳥山公園(北区)
JR京浜東北線「王子駅」、都電荒川線「飛鳥山」「王子駅前」から歩いてすぐの「飛鳥山公園」もまた、徳川吉宗ゆかりのスポット。吉宗が1,270本の桜を植え、庶民に開放した頃から続く桜の名所です。
お城の大型遊具やリアルなゾウのすべり台、蒸気機関車や都電の展示車両、夏のじゃぶじゃぶ池など、遊びも盛りだくさん。
6月は、ぜひ「飛鳥の小径」を歩いてみて!
JRの線路沿いの約350mに渡り、約1,300株のあじさいが目を楽しませてくれますよ。
数分おきに電車が通るので、乗り物好きな子供も大喜び♪
公園内には、紙専門のユニークな博物館「紙の博物館」、北区について詳しく学べる「北区飛鳥山博物館」、この土地に居を構えた渋沢栄一の志を伝える「渋沢史料館」といった屋内施設も。
雨の日のおでかけにもぴったりですね。
開放感バツグン!「河川敷」のあじさいスポット&イベント
多数の川が流れる東京の下町。河川敷で、四季の花々が楽しめる場所もたくさんあります。なかでもあじさいが楽しめる2つのスポットをご紹介!
旧中川水辺公園「旧中川アジサイ祭り」(江東区/2024年6月2日)
江東区と江戸川区の間を流れる旧中川。その河川敷にある「旧中川水辺公園」のあじさい遊歩道は、知る人ぞ知るあじさいの穴場スポット。
6月上旬から下旬にかけて、約2,000株のあじさいが見頃を迎えます。
品種はホンアジサイやアナベルなど約5種類。JR総武線の鉄橋と「ふれあい橋」の間、約200mに渡って植えられています。
また、例年6月初旬には「旧中川アジサイ祭り」を開催。
体験乗船できるカヌー(参加費無料)の上からも、水辺のあじさいを鑑賞できるのが大きな魅力です。
キッチンカーも出店し、のんびり過ごせますよ。
小岩菖蒲園「小岩菖蒲園まつり」(江戸川区/2024年6月1日〜16日)
京成線「江戸川駅」から徒歩約5分、江戸川の河川敷に広がる「小岩菖蒲園」は、約4,900平方メートルの敷地に約100種5万本の花菖蒲が咲く、都内有数の花菖蒲園。
見頃となる6月には、約2,000株のあじさいも花開きます。
園内からは江戸川橋梁を電車が走行する様子が見えるので、乗り物好きな子供はとくに楽しく過ごせるはず。あじさいと花菖蒲の上には、さえぎるもののない広い空が広がり、とても気持ちがいい空間!
園路はきれいに整備されているので、親子でお散歩しやすいですよ。
2024年6月1日(土)〜16日(日)に開催される「小岩菖蒲園まつり」中の土・日曜には、JR総武線「小岩駅」南口2番乗り場から「小岩菖蒲園」までの直通バスが運行されます。
会場には模擬店が並び、のどかな時間が過ごせます。
梅雨の空の下でも、あじさいを眺めながらお散歩すれば、気分もパッと晴れやかに♪
親子で一緒に花の構造を観察したり、訪れた場所について、歴史を調べてみるのもいいですね。お気に入りの品種が見つかったら、園芸店で購入して自宅で育ててみるのもおすすめです。
子供の好奇心を刺激するポイントが、きっとたくさんありますよ。
記事を書いた人
いこーよとりっぷ編集部
「いこーよとりっぷ」では、地域の伝統行事や季節毎のイベント情報など、地域の魅力を発信し、親子にとって「10年先も思い出す」おでかけ体験を提供していきます。
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