江戸の行楽地・王子&飛鳥山を散策
親子におすすめの周辺スポット9選
花見の名所・飛鳥山(あすかやま/現・飛鳥山公園)をはじめ、江戸時代から庶民の行楽地として栄えてきた東京都北区王子(おうじ)。駅周辺には博物館などの知的好奇心をくすぐるスポットや思いっきり遊べる自然豊かな公園がいっぱい。
人気ベーカリーのあんぱんや、お土産にぴったりな老舗の玉子焼きなど、親子で食べたい美味しいグルメもたくさんそろっています。
そこで今回は、王子&飛鳥山エリアをまち歩きして、親子におすすめのスポットを見つけてきました。
※記事中の情報には、一部取材時の情報が含まれます。最新情報および詳細は、公式サイトをご確認するか、店舗へご確認ください
江戸のリゾート地!?「王子&飛鳥山」とは
豊かな自然と歴史を感じるスポットがいっぱいの王子。江戸時代には8代将軍・徳川吉宗が飛鳥山に桜を植えて庶民に開放し、誰もがお花見を楽しめる“江戸のリゾート地”として栄えました。
江戸後期には「海老屋」や「扇屋」といった江戸の料理屋番付上位に入る有名店が立ち並び、多くの人々でにぎわったのだそう。
明治初期には、渋沢栄一が近代的な製紙工場を設立したことから、「洋紙発祥の地」としても知られています。
JR京浜東北線、東京メトロ南北線、都電荒川線の3つの路線が通っていて、アクセスしやすいのも魅力。
都電の沿線には「サンシャイン水族館」や「あらかわ遊園」など親子向けスポットがたくさんあるので、一日乗車券を買っておでかけするのもおすすめです。
【王子・飛鳥山のお散歩マップ】今回歩いたスポットはこちら!
遊び・グルメ・学びの要素が駅の周辺にギュッと集まる王子・飛鳥山エリア。
今回は「飛鳥山公園」からスタートし、地名の由来になった「王子神社」や、落語「王子の狐」の舞台でもある「王子稲荷神社」「扇屋」といった、江戸時代の名所を中心に歩きます。
まちで人気のパン屋さんや甘味処も、ぜひ立ち寄りたいスポット。
各スポット間は徒歩で1~8分と近く、親子で歩くのにぴったりのコースです。
まずは桜の名所「飛鳥山公園」へ
JR京浜東北線「王子駅」の中央改札を出て左に曲がるとすぐに目に飛び込んでくるのが、自走式モノレール「アスカルゴ」。これに乗って「飛鳥山公園」の入り口まで行ってみましょう。ベビーカーで乗車できるうえ、無料なのもうれしいですね。
飛鳥山公園は、お花見の名所として江戸の庶民に親しまれてきた歴史ある場所。1873年(明治6年)には、「上野公園」(現・上野恩賜公園」、「芝公園」「浅草公園」、「深川公園」とともに日本最初の都市公園に指定されました。
園内には、3つの博物館(紙の博物館、北区飛鳥山博物館、渋沢史料館)があるほか、個性的な遊具が集まる児童エリアやのんびり過ごせる芝生広場、夏場に水遊びができるじゃぶじゃぶ池などがあり、1日飽きることなく遊び尽くせます。
■飛鳥山公園
所在地:東京都北区王子1-1-3
「音無親水公園」をぶらりお散歩【飛鳥山公園から徒歩5分】
飛鳥山公園の目の前にある「音無(おとなし)親水公園」は、春には桜が、秋には紅葉が楽しめます。桜と紅葉の時期にはライトアップも行っているので、夜のお散歩も素敵ですね。
かつてこの場所には石神井川(しゃくじいがわ)が流れていたのですが、昭和30年代に始まった改修工事によってコンクリートの下へと消えました。
美しい渓流を取り戻したいという地域の人々の思いから、旧流路に作られたのが「音無親水公園」なのです。
夏になると水遊びができるため、多くの子供でにぎわいます。100mほどの水路に、風車や橋、滝、岩などが配されており、まるで渓流のような趣き。
水深は子供のひざくらいあるので、水遊びする場合は着替えや水着を持っていくといいでしょう。
■音無親水公園
所在地:東京都北区王子本町1丁目
「王子神社」へお参りに【音無親水公園から徒歩1分】
続いて向かったのは、王子の地名の由来にもなった「王子神社」。音無親水公園沿いの道から境内へと続く階段を利用するとすぐに到着です。
階段の途中には、東京都の天然記念物に指定されている樹齢600年超えの大イチョウがあります。秋になると色鮮やかな黄葉を見せてくれますよ。
王子神社は、江戸時代に3代将軍・徳川家光の乳母(うば)である春日局(かすがのつぼね)が祈願し、家光の将軍就任が叶ったことから「子育大願」の神社として有名です。
木々に囲まれた境内はとても静かでほっと落ち着く雰囲気。子供と一緒におでかけするのにぴったりのスポットです。
8月に「槍祭」、12月に「熊手市」を開催
毎年8月上旬の3日間にわたって行われる例大祭「槍(やり)祭」や、12月6日に開催される「熊手市」などのお祭りも大変にぎわうので、子供と一緒に参加してみては。
■王子神社
所在地:東京都北区王子本町1-1-12
世界のお札がずらり!「お札と切手の博物館」【王子神社から徒歩6分】
王子には、郵便切手や諸証券類の製造を行う「国立印刷局」の工場があり、入場無料の博物館「お札(さつ)と切手の博物館」が併設されています。歴代のお札や切手を展示しているのはもちろん、偽造防止の技術についても詳しく知ることができます。
ほかにも、世界のめずらしいお札と切手、お札の製造と深いかかわりをもつ銅版画など、さまざまなな資料を展示しています。
新しいお札が登場する2024年を前に、今一度お札の歴史について子供と一緒に学んでおきたいですね。
■お札と切手の博物館
所在地:東京都北区王子1-6-1
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館))年末年始、臨時休館日
営業時間:9:30~17:00
「明治堂」のカフェでランチ【お札と切手の博物館から徒歩4分】
駅前のにぎやかな大通りから路地に入ったところにある「明治堂」は、1階がパン屋さん、2階がカフェになっています。
定番の食パンやあんぱんから、ハード系のパン、惣菜パンなど、その豊富な品ぞろえは常時130種類ほど。子供と一緒にパンを選ぶ時間も楽しいですね。
2階のカフェでは、軽食やランチを楽しめるほか、1階で購入したパンを持ち込んで食べることもできますよ。パンをテイクアウトして、飛鳥山公園でピクニックするのも楽しそう♪
■明治堂
所在地:東京都北区王子1-14-8 明治堂ビル1F
定休日:日曜(カフェは日・月曜、祝日)
営業時間:ベーカリー6:30~19:00(祝日は6:30~18:00)/カフェ9:00~17:00LO
関東の稲荷社の総本山「王子稲荷神社」【明治堂から徒歩7分】
関東稲荷総社の格式を持つ「王子稲荷神社」。大晦日に関東各地から集まった狐(きつね)たちが、エノキの下で装束を整え、神社に初詣をしたという伝説が残っています。
その伝説にちなんで、毎年大晦日の夜、地元の人々が狐のメイクやお面でまちを練り歩く「王子狐の行列」が行われています。
境内には、狐が住んでいたとされる岩穴「狐の穴跡」があり、落語「王子の狐」の舞台にもなっています。
2月の「凧市」は江戸から続く伝統行事
毎年2月の午の日には、江戸時代から続く伝統行事「凧市」が開かれます。凧は風を切って揚がるという縁起担ぎから、火事除けのお守りとして信仰されているのだそう。
「凧市」の日は周辺に食べ物の屋台なども立ち並び、多くの人々でにぎわいます。
■王子稲荷神社
所在地:東京都北区岸町1-12-26
「石鍋商店」で名物「久寿餅」を購入【王子稲荷神社から徒歩2分】
王子稲荷神社の参道にある「石鍋商店」は、久寿餅(くずもち)やあんみつ類、酒まんじゅうなどを販売する、1887年(明治20年)創業の甘味処。
体に安心な食品を届けたいという思いから、添加物や保存料を一切使用しておらず、創業当時から変わらない製法を守っています。
店の看板商品は、伝統的な製法で作られた久寿餅です。2年もの長い年月をかけて乳酸発酵させた小麦でんぷんを蒸して作ったもので、ほのかな酸味と強い弾力が特徴的。王子のお土産にいかがでしょうか(イートインは、2024年3月現在お休み中です)。
■石鍋商店
所在地:東京都北区岸町1-5-10
定休日:日曜
営業時間:平日9:30〜18:00/土曜・祝日9:30〜17:00(お土産販売のみ)
※久寿餅が売り切れ次第閉店する場合あり
※イートインはしばらくの間お休み
狐の焼き菓子が可愛い「ランギャール」【石鍋商店から徒歩4分】
権現坂を登ったところにある「ランギャール」は、狐をモチーフにした焼き菓子や3種の生クリームをブレンドした「おうじロール」など、王子ならではのラインナップが楽しめるフランス洋菓子店です。
「王子稲荷神社」や「狐の行列」にちなんで作られた焼き菓子はすべて自家製で、子供も大喜びのかわいらしさ。狐の顔と尻尾をかたどったマドレーヌ「ルナール」は、プレーン、抹茶、紅茶の3つの味わいです。明日のおやつに買って帰りたくなりますね。
■ランギャール
所在地:東京都北区王子本町1-18-9 根岸ビル1F
定休日:水曜
営業時間:10:00〜19:00
江戸庶民が愛した味「王子扇屋」の玉子焼き【ランギャールから徒歩3分】
最後に寄っておきたいのが、卵焼きの専門店「王子扇屋」。創業は江戸時代前期1648年(慶安1年)で、江戸後期には料亭として飛鳥山のふもとに大きな店を構えていました。
じつは、落語「王子の狐」の舞台になったお店がこちらの扇屋なんです。
現在は、料亭の頃から評判だった玉子焼きの味をそのまま引き継ぎ、ビルの前のスタンドで「厚焼玉子」と「親子焼玉子」の2品のみを販売しています。
ふんわり甘い味付けの玉子にカツオ出汁の旨みがしっかりきいていて、大人はもちろん子供も喜ぶ美味しさです。お弁当に入れてあげたい!
「うちの玉子焼きは、添加物や保存料を一切使わず、一本一本丁寧に手焼きしています」と15代目店主の早船武利さん。
「昔から行楽地として栄えていた王子は、古いものと新しいものが混在している面白いまちなので、ぜひ遊びにいらしてくださいね」(早船さん)
■王子扇屋
所在地:東京都北区岸町1-1-7 新扇屋ビル1F
定休日:水曜
※臨時休業あり
営業時間:13:00~19:00
公園遊びから神社への参拝、美味しいお店の数々と、王子の魅力を堪能し尽くした今回のルート。盛りだくさんですが、駅周辺の狭い範囲にスポットが密集しているので、ゆとりを持って子供と歩くことができそうです。
桜やあじさいが咲きだすと王子がにぎやかになる季節。親子でおでかけを楽しんでみてくださいね。
記事を書いた人
宇都宮薫
多摩美術大学卒業。編プロ勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、書籍(ビジネス書・実用書・コミックエッセイ等)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは生活情報全般、出産育児、健康、おでかけ、グルメなど。趣味は地図を見ること、まち歩き、絵を描くこと♪
- ページの内容は、掲載時のものであり最新の情報ではない場合もあります。
お出かけされる際は、最新の公式情報を必ずご確認下さい。